2010/12/09 (Thu) 21:19
早川書房
2010年9月
奇妙に傾く狂気の城、奇傾城――血と内臓と腐肉が主題の絵画が集う一室に幽霊が出没する噂がたち、「探偵」亜久は心霊特番に協力して城を訪れる。遅れて「霊能リポーター」役の女子高生、全身黒服の少女・黒が現れ、亜久にそっと囁いた。「あなたは、鋏が好きですか」……やがて密室状況で、黒と親しい男がくだんの部屋で首を切断された。これは幽霊の凶行か? 呪わしく美しい純愛(変愛)本格ミステリ。
表紙のイメージと序盤の様子から、ホラー小説なんだと思っていましたが、推理小説でもあったんですね。
トリックは…う~ん、どれもあんまり納得できないですね。一つはかなりインチキっぽいし。
黒は途中までは謎めいていて、とても魅力的なキャラだと思ったのに、後半ちょっと肩すかし喰らったかな。
戦闘シーンはスピード感があってよかったと思います。で、結局あの人誰?
内容★★★
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2010/12/08 (Wed) 18:24
東京創元社
2010年10月
アメリカはメイン州・ベックフォード、ディー・デクスター探偵社に一本の電話が入る。探偵二名をある家によこしてほしい、そこで一晩泊まってくれればいいという、簡単だが奇妙な依頼。訝しみながらもその家に向かったスタンリーとケンウッドに、家人は何も説明せず、二人は酒を飲んで寝てしまう。しかし、未明に大きな物音で目覚めた二人は、一面の血の海に切断死体が転がっているのを発見。罠なのか?急ぎディーの家に行って指示を仰ぎ、警察とともに現場に戻ると、何と血の海も死体も跡形もなく消え去っていた―。事件を追う探偵社の面々の前に、日本人探偵・被砥功児が颯爽と登場する。第二十回鮎川哲也賞受賞作。
翻訳物ほとんど読まないから、カタカナの登場人物はちょっと苦手だったりします。原書のようにアルファベット表記だとなぜかそんことないのですけれど。
それでもって、すぐにわかってしまうトリック。別に本格物に詳しくない私でも。
そうなってしまうと、登場人物に魅力があったりとかしないとなかなか読むのが辛くなってきます。
会話も何か平淡で優等生的というか、臨場感がないというか…。
説明の繰り返しもくどいし。
動機も、ここまでするかなと、ちょっと首を傾げてしまいました。
う~ん、私にはイマイチよさがわからないなぁ。
内容★★★
2010/11/30 (Tue) 10:38
文芸社
2005年5月
2歳2ヶ月で「急性リンパ性白血病」と告げられ、骨髄移植の結果、順調に完治した愛娘・みぽりん。病気の影響からか、同級生と比べて身長が低かったが、そんなことはあまり気にしないえくぼのかわいい女の子だった。しかし、中学に入学した途端、今度は「悪性脳腫瘍」がみぽりんを襲う……。平均余命1年と告げられた母が、みぽりんの書いた絵手紙を交えて闘病生活を記録。重い病に侵されているとは思えない力強さと前向きさを持つみぽりんの絵手紙から、生きる勇気をもらうことができる一冊。
TVドラマを観て知り、もっとみぽりんの絵を見たくなり手に取りました。
みぽりんのお母さんが綴った、日記のような記録なので、映像と比べるとドラマ性とかがあるわけではないのですが、その感情を抑えたむしろ淡々ともいえる書き方が、逆に切実さを表しているように感じました。
身体の小さなみぽりんが描く絵は、とても生命力に溢れ、彼女の生きたいという気持ちがひしひしと伝わってきます。
理不尽さによく愚痴る私ですが、彼女や彼女の家族に比べたらなんと小さなことか。恥ずかしいです。
せめて、優しい家族に囲まれていた分、短い人生だったけれども幸せだったのだと、思いたいです。
内容★★★★
2010/11/29 (Mon) 10:33
マガジンハウス
2010年9月
仕事命、シングルマザーのエム(39歳)が入社したのは心身共にハードなベンチャー企業。常識はずれな要求と激務の末、職場の真ん中で倒れ、生死の境をさ まよった末、奇跡の復帰を遂げた彼女を待っていたのは、会社都合の理不尽なリストラだった。退職を余儀なくされたエムは、労災認定、未払い賃金の請求、パワハラ慰謝料を要求すべく、法律知識ゼロから会社に立ち向かった。人ごとではない、リアルで怖くて、しかも抱腹絶倒!? 読み出したら辞められないジェットコースター・ノンフィクション!社員にも会社にも今すぐ役立つ弁護士監修法律解説付き。
あまりに理不尽な会社の扱いには絶句です。自分はまだ恵まれているほうだと思っちゃいます。
会社に尽くし過ぎても、手を抜き過ぎてもいけないし、そのバランスは難しいですね…。
このご時勢、簡単に辞めるわけにもいかないし…。
気持ちは痛いほどわかりますが、残念ながら目新しい内容ではありませんでした。
ほぼ、どういう扱いを受けてきたかがメインで、会社とどう戦うかがあまり詳しく書かれていませんでした。
そういう点で、ためになるかというとちょっと疑問に思いました。
内容★★★
2010/11/26 (Fri) 16:49
河出書房新社
2010年9月
このままじゃあ、殺される! 幼い頃からの凄絶ないじめ。でも脳内の「私」は醜く太った引きこもりではなく、みんなの憧れの美少女――。嘘にまみれた狂気の果て、想像を絶する残酷な結末!
りかの引きこもりの様子は「うちの母ちゃんすごいぞ」と状況は少し似ていて、人生を転落していく様は「嫌われ松子の一生」と似ているように思いました。
でも、決定的に違うのは、りかの性格がどんどんねじまがってしまうところでしょうか。
何がいけないのでしょう。本人?家族?周りの人?環境?
クズ子は多分いいほうに向かっていくだろうし、松子は人を愛した末の結末でした。
結局、自分自身しか愛せない彼女の心は、確かに豚姫という名が相応しいのかもしれませんね。
後味は相当悪いです。
内容★★★