2010/07/07 (Wed) 13:35
集英社
2010年2月
バレー部の「頼れるキャプテン」桐島が突然部活をやめた。
それがきっかけで、田舎の県立高校に通う5人の生活に、小さな、しかし確実な波紋が広がっていく。
野球部、バレー部、ブラスバンド部、女子ソフトボール部、映画部。
部活をキーワードに、至るところでリンクする5人の物語。
桐島はどうして部活をやめたのか?
17歳の彼らは何を抱えているのか?
物語をなぞるうち、いつしか「あの頃」の自分が踏み出した「一歩」に思い当たる……。
世代を超えて胸に迫る青春小説の傑作!
第22回小説すばる新人賞受賞作
200ページ弱の薄い本なのに、意外に時間がかかってしまいました。
何故かというと、話に惹き込まれず、なかなか進まなかったのが原因かと。
繊細な感性での心理描写等、今時の若者を上手く描けているとは思いますが、ただそれだけです。
出来事の断片を並べたただけのストーリーでは、吸引力はないかも。
印象も薄く、暫くしたら完全に忘れてしまいそうです。
内容★★★
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2010/06/16 (Wed) 21:03
講談社 ミステリーランド
2006年5月
少年リンツの住む国で富豪の家から金貨や宝石が盗まれる事件が多発。現場に残されているカードに書かれていた【GODIVA】の文字は泥棒の名前として国民に定着した。その怪盗ゴディバに挑戦する探偵ロイズは子どもたちのヒーローだ。ある日リンツは、父の形見の聖書の中から古びた手書きの地図を見つける。その後、新聞記者見習いマルコリーニから、「【GODIVA】カードの裏には風車小屋の絵がえがかれている。」という極秘情報を教えてもらったリンツは、自分が持っている地図が怪盗ゴディバ事件の鍵をにぎるものだと確信する。地図の裏にも風車小屋が描かれていたのだ。リンツは「怪盗の情報に懸賞金!」を出すという探偵ロイズに知らせるべく手紙を出したが……。
このミステリーがすごい!2007年度第5位
凝った外観とトリムされた角に雰囲気のあるイラスト。
小学校の頃に読んだ雰囲気そのままの懐かしいようなストーリーがいい感じです。
ただ平仮名が多く、ちょっと読みにくかったです。仕方ないのですが。
推理としてはまあ、ありきたりですが、これは雰囲気を楽しむ本でしょう。
でも、ラストのほうの種明かしの細かい点では、なるほどと思うものがあったのも事実です。
読書嫌いな子供が、こういう本をきっかけに本を好きになってくれるといいなぁなんて思いました。
人物のイラストは怖すぎるので、できればないほうがよかったです。イメージも崩れるし…。
内容★★★★
2010/06/13 (Sun) 23:58
ポプラ社
2010年2月
わたしがいなくなっても、あなたが明日を生きていけるように。
大切な人を亡くしたひとつの家族が、再生に向かうまでの四十九日間。
家族を包むあたたかな奇跡に、涙があふれる感動の物語。
熱田家の母・乙美が亡くなった。気力を失った父・良平のもとを訪れたのは、真っ黒に日焼けした金髪の女の子・井本。乙美の教え子だったという彼女は、生前の母に頼まれて、 四十九日までのあいだ家事などを請け負うと言う。彼女は、乙美が作っていた、ある「レシピ」の存在を、良平に伝えにきたのだった。
プロローグを読んだ時点で、この本はヤバイと思いましたが、やはりそうでした。最後の方はもう、涙で溢れ読み進めるのが困難になってしまいました。
どんなに好きでも、それがうまく伝えられようがられまいが、容赦なく人の死は、別れは誰にもやってきます。
この乙美のように、準備ができればよいのですが、私にはそれもできそうになさそうです。
なので、愛する人たちに対し、毎日できるかぎり感謝が伝わるように生きていきたいな、良平や百合子のように悔むことがないようにしていきたいな、なんて思いますが、現実にはなかなか難しいようです。でも、努力は続けるつもりです。
「きっと人生には何かが必要だ。食って寝て起きての日々を鮮やかに彩る何かが。幸せな気持ちを作りだす何かが。笑い、喜び、驚き、ときめき、期待する、心を動かす美しい何かが。」
それは愛する家族と過ごすことによって生まれるものだと、私は思います。そしてそれを大切にしたいです。
そして、ひとりでも多くの人のテイクオフ・ボードになれたのなら、こんな幸せなことはないのでしょうね…。
内容★★★★★
2010/05/23 (Sun) 20:49
文藝春秋
2009年1月
天才チェスプレーヤー、リトル・アリョーヒンの密やかな奇跡の物語。廃バスに住む巨漢のマスターに手ほどきを受け、マスターの愛猫ポーンを掻き抱き、デパートの屋上に閉じ込められた象インディラを心の友に、チェスの大海原に乗り出した孤独な少年。彼の棋譜は詩のように美しいが、その姿を見た者はいない。なぜなら……。海底チェス倶楽部、からくり人形、人間チェス、白い鳩を肩にとまらせた美少女、老婆令嬢……やがて最も切なく愛(いと)おしいラストへ。
不思議なおとぎ話のようなお話でした。
チェスがメインのお話ですが、知らなくても十分楽しめます。私は駒の基本的な動かし方を知っている程度です。
私の中では、伊坂幸太郎さんの「あるキング」とダブって見える部分もありました。
ある才能に特化した人って、うらやましい半面、何故か悲しくもあります。
特にこちらのリトル・アリョーヒンは、脚光を浴びることさえなかったからかも知れません。
人の為しえないことを為して語り継がれることは、幸せなのでしょうか。
そのために自分の家族が持てないとしても…。
人の一生ってなんなんでしょうね。
人の幸せってなんなんでしょうね。
内容★★★★
2010/05/16 (Sun) 12:08
角川書店
2009年10月
夜見山北中学校の3年3組には、かつて「ミサキ」という生徒がいた。スポーツ万能かつ優等生でありながら、気さくでチャーミングなみんなの人気者だったミサキがある日急死してしまい、悲しみに打ちひしがれたクラスメイトたちは、卒業までの日々をミサキが生きているかのように過ごしてゆこうと決めた。ミサキの席はそのままに、朝、登校したら挨拶をし、折りに触れて皆で話しかけ――この美しいエピソードはしかし3組に、ある歪んだ事象をもたらしてしまう。
1998年春。3年3組に転校してきた榊原恒一は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に不審を抱いた。そんなクラスの中で、異彩を放っているのが、孤高の美少女ミサキ・メイだ。片目に眼帯をつけていつも一人絵を描いており、不思議な存在感をもった彼女に魅せられた恒一は接近を試みるが、謎は深まるばかり。彼女は何かを知っているのか。いや、彼女はそもそも何者なのか――?
メイと校外某所で出会い、少しだけ彼女に近づいた気がしてきた恒一。しかし事態は一向に明らかにならないまま、クラスの雰囲気は日毎張り詰めてゆく。そしてある日、クラス委員の桜木ゆかりが凄絶な死を遂げた。それがまるで予想されていたことであったかのように、いっそう怯えの色を強くする同級生たち――真相を知るべく動きはじめた恒一を、さらなる謎と恐怖が待ち受ける……。
700ページ弱とかなり厚い本でした。
でも、読みやすいのでそれほど長さは感じないかもしれません。
ラスト近くまでは正統なホラーで、ラストにたたみかけるように謎解き+アクションといった感じでしょうか。
想像力の欠如している私は、あまり小説のホラーでは怖いと感じないのですが、謎が気になり最後まで楽しめました。
何かを考えさせられるとかいった本ではないですけどね。
主人公二人を、「エヴァンゲリオン」のシンジとレイと重ねて読んでいたのはわたしだけでしょうか。
内容★★★★