2010/09/28 (Tue) 22:45
太田出版
2006年8月
「生きて妻のもとへ帰る」
日本軍敗色濃厚ななか、生への執着を臆面もなく口にし、仲間から「卑怯者」とさげすまれたゼロ戦パイロットがいた……。
人生の目標を失いかけていた青年・佐伯健太郎とフリーライターの姉・慶子は、太平洋戦争で戦死した祖父・宮部久蔵のことを調べ始める。祖父の話は特攻で死んだこと以外何も残されていなかった。
元戦友たちの証言から浮かび上がってきた宮部久蔵の姿は健太郎たちの予想もしないものだった。凄腕を持ちながら、同時に異常なまでに死を恐れ、生に執着する戦闘機乗りーーそれが祖父だった。
「生きて帰る」という妻との約束にこだわり続けた男は、なぜ特攻に志願したのか? 健太郎と慶子はついに六十年の長きにわたって封印されていた驚愕の事実にたどりつく。
はるかなる時を超えて結実した過酷にして清冽なる愛の物語!
これは名作ですね、間違いなく。
泣けるシーンが何箇所あったことか。
ストーリーも感動ですが、それを裏打ちする徹底的な取材でのリアルさもあってこそだとも思います。
私の祖父も戦争で亡くなったというのに、私は無関心のまま来てしまいました。本当に恥ずかしいです…。
適当なイメージで漠然と持っていた特攻隊などのイメージもこの本を読んで変わりました。この点に関しても、今から思えばとても恥ずかしいです。
確かに今の世の中でも理不尽なことは多々あります。でも彼らの受けた理不尽さに比べ、なんとささやかなことでしょう。彼らのことを思い浮かべると、どんなことでも耐えられそうな気がしてきます。それだけでも読んだ価値があったかな。(それだけではないけれど)
いろいろ抜き出したい名台詞があったのですが、あまりに多すぎるので断念しました。
これをきっかけに、当時の人々の気持ちも考えながら戦争についてもっと学んでいこうと思っています。
内容★★★★★
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