2011/04/06 (Wed) 21:12
双葉社
2011年2月
フリーライターの舞は不妊が原因で離婚し、アパートに引っ越してきた。傷心を抱えながらも、向かいのアパートに住む耶知子さんというパワフルなおばあさんと交流が始まる。耶知子さんは不思議な力で、身近な人々の「最期」にまつわる心のすれ違いを解決させてゆく。そんな耶知子さんと過ごすうちに、舞はライターとして書かなかればならない本当に大切なことを見つけていた。この世に残すことができない新たな命の代わりに、自分にしか残せないものを―。日本ホラー小説大賞(短編賞)受賞作家が贈る優しく切ないファンタジックミステリー。
表紙のイラスト、タイトル、いきなりブラを真っ二つに切られてしまうオープニングにすっかり騙されました。
実は「死」という誰にも避けられないお別れについて考えさせられる、真面目なお話でした。
双子のエピソードで泣かされ、ラストのエピソードでは号泣させられました。
内容★★★★★
PR
2011/03/31 (Thu) 09:26
2011/03/30 (Wed) 11:16
2011/02/28 (Mon) 10:32
幻冬舎新書
2010年11月
平成20年の犯罪件数は253万3351件。
被害者家族はマスコミ取材による二次被害で心の傷が癒える間もないが、
実は加害者家族も凄惨な生活を強いられる。
身内の犯罪を機に失職や転居を余儀なくされるだけでなく、
インターネットで誹謗中傷され、写真や個人情報まで流出される。そんな過酷な現実を受け止められず、自殺する人も多い。
事件への自らの非力を嘆き激しい後悔に暮れる加害者家族も多いが、そもそも身内の犯罪を未然に防ぐには限度がある。
まさに他人事ではない実態を明らかにした、衝撃の一冊。
今まで加害者と被害者、そして被害者家族の悲しみくらいは考えたことはありましたが、被害者家族、加害者家族共にこんなつらい目に遭っていることには考えが及びませんでした。
当事者じゃない人たちからの、正義感なのか好奇心なのかわからない糾弾に、目に見えない恐ろしさを感じました。
そして、こういう二次被害が犯罪を抑制しているという側面に納得しながらも複雑な心境です。
第一章の加害者の妻が言っていた、当人は刑務所で護られているから私たちよりまし、というような言葉がまだ頭に残っています。
内容★★★★
2011/02/15 (Tue) 18:42
新潮社
2010年11月
東京タワーのてっぺんで死体が発見された。巻き込まれたくはなかった。怪物だった「かつてのオレ」が目覚めてしまうから。立ちすくむオレの前に一人の「女子高生」が現れて、事件は爆発的に加速しはじめる――。フリーターが走る。セーラー服が揺れる。東京中がミステリー空間に変貌する、超音速のエンターテインメント!
ストーリーやトリックに期待をして読むと肩透かしを食うかも。
これは、斜に構えた主人公の思考と会話を楽しむ本だと思うのです。
その考え方にはときどきはっとさせられることもあるし。
ただ、ほとんどのことはかっちり解明されることはなく曖昧なままなので(主人公の過去さえも)、もやもや感はかなり残ります。
ちょっと風変わりな感覚なので、構えずに読むのがよいかもしれませんね。
内容★★★★