2011/08/01 (Mon) 18:40
2011/07/25 (Mon) 22:30
文藝春秋
2011年5月
長嶺亨は脱サラをして父親の山小屋を継いだ。父をなくしたOL、84歳のクライマー、7歳の女の子、ホームレスのゴロさん…美しい自然に囲まれたこの山小屋には、悩める人を再生する不思議な力があった。傑作山岳小説『還るべき場所』の作者が描く登山の魅力。
山の厳しさや素晴らしさを教えてくれた連作短編集でした。
「周りからいくら幸福に見えても、その人が本当に幸福かどうかは本人しかわからない。でも心のなかに自分の宝物を持っている人は、周りからどう見られようと幸福なんだよ」
決して裕福とはいえないけれど、亨もゴロも美由紀も、その仕事、その生活に宝物を見つけているようで羨ましかったです。
自分は今充実しているのか、本当の幸福って何なのかを考えさせられました。
内容★★★★★
2011/07/21 (Thu) 11:41
大和書房
2011年5月
高度な刺激社会には、楽しいことも、感動できることも、たくさんあるのに、それでも本を"鏡"として人生を見つめるべき理由とは何か----。
「読書なしの人生はあり得ない」「不安で孤独なときこそ、本を読む絶好のチャンス」と断言する著者の経験と、鋭利な視点を通して、「読書と生きる力はどこでつながるのか」を問い直す試み。
本を読む目的として常に考えていること、ほとんどそのままだったので、あまり感慨はありませんでした。
ただそれでいいんだよと肯定されたようで、その点は気分がよかったです。
でもまあ、考えていることに実践は伴ってなく…。
現状、偏った読み方をしているのはわかっているのですが…。
内容★★★
2011/07/06 (Wed) 18:27
集英社
2011年5月
2009年、秋。翌年6月から施行の改正貸金業法がもたらすのは、借金からの救済か、破滅か―四十過ぎの翻訳家、吉野解は貧乏学生の頃に下宿していた神保町の古書店「泪亭」の二階で謎の美女、白井沙漠と出会う。裕福な家庭に育った妻とは正反対の魅力に強く惹かれ、粗末な部屋で何度も体を重ねる。しかし、沙漠が解に借金を申し込んだことから「悲劇」の幕があがる―。
生々しく、どろどろといった印象。
どの人にも救いがあるようには思えず、でもこれが今の社会の現状ということなのでしょう。
視点が変わっての同じ場面が何箇所か出てくるのですが、人によって捉え方がまったく違うところが興味深かったです。
人との気持ちの共有、相互理解ってやっぱり無理なんでしょうか。
内容★★★
2011/07/01 (Fri) 10:38
幻冬舎
2009年5月
21歳の杏平は、ある同級生の「悪意」をきっかけに、二度その男を殺しかけ、高校を3年で中退して以来、うまく他人とかかわることができなくなっていた。父親の口利きで、遺品整理業“CO‐OPERS”の見習い社員になった杏平の心は、亡くなった方とご遺族のため、汚れ仕事も厭わず汗を流す会社の先輩達、そして同い年の明るいゆきちゃんと過ごすことで、少しずつほぐれてゆく。けれど、ある日ゆきちゃんの壮絶な過去を知り…。生きることの重さを知るほど、生命は大切で重くなる。爽やかな涙が流れる、感動の書き下ろし長篇小説。
初めてタイトルを見かけたときは、まさかねぇ、なんて思っていたものでしたが、実際読んでみたらそのままでした。でも、単なる洒落でなく重要な場面で効果的に使われているのには感心しました。
映画も製作されたようで(それがこの本を読んだきっかけですが)、あらすじを見る限り、若干違うようで、そちらも楽しみです。
松井には本当に腹が立って、それだけ感情移入していたわけですが、これだけのことをしておいてのうのうと生きているのが許せなかったのですが、よくよく考えれば、こんな人のために人生を駄目にするのも勿体無いですよね。
だから、主人公たちの最後の行動はあれが正解かなと。
でも、松井に天罰が下って欲しかったと思う私は、人間ができていないか、予定調和を求めすぎ?
遺品整理業に携わる人々、杏平のお父さん、山岳部の顧問の先生等、見習うべきいいところを持った登場人物が多いのも好感度大です。
内容★★★★★