2010/10/27 (Wed) 09:33
ポプラ社
2010年3月
ウサギの人形ピョンちゃんのために作った「引き出しの中の家」に、
やってきたのは、小さな小さなお客さまだった…!!
「ふさわしい大きさのものを仕立てれば、きっとやってくる」
『花明かり覚え書』より
コルク栓の椅子、石けん入れでつくった猫足のバスタブ、マッチ箱をかさねて布を貼ったひきだし……
七重がつくった、引き出しの中の小さな家に、ある日とても小さな女の子、独楽子が現れます。
独楽子は、昔から花のそばにいて、花を美しく咲かせると言われている「花明かり」にちがいない、と思う七重。
彼らのためにあるような「盆栽」の唐楓の林で、二人は念願の紅葉狩りを楽しみます。
「きっと、お花見もしようね」と約束をしますが、その約束ははたされないまま離れ離れに……。
やがて時が経ち、七重のいた家に、今度は現代の少女、薫がやってきます。
薫はこの家で何を見つけるのか。
花明かりは再び現れるのか…?
小さな小さな人たちと、時代を隔てた二人の女の子たちのあたたかな交流を描いた、朽木祥、渾身の感動長編物語。
レゴ、シルバニア、リカちゃん、プラモデル…。
人はどうして、ミニチュアで再現することに惹かれるのでしょう。
その答えがここにあるわけではありませんが、この本は読んでいて温かい気持ちにさせてくれる、善意に溢れた本です。
不器用な薫と小さな桜子が、一生懸命クッキーを作っている様子が、身体の大きさの違いを乗り越えた一体感があって、とても印象的でした。
これを読めば、純粋な心が取り戻せる?
子供用に、語句の注釈がところどころ載っているのですが、その解説が子供に理解できるレベルかどうか、ちょっと疑問。
また、その解説が章ごとにまとめられているのも使いづらいと思いました。
細かいことですが、その点の配慮は欲しかったです。
内容★★★★
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2010/10/23 (Sat) 10:49
幻冬舎
2010年8月
学歴も金もなく、恋人もいない35歳の晴夫。一流のマジシャンを目指したはずが、17年間場末のマジックバーから抜け出せない。そんなある日、テレビ番組のオーディションに挑むが…。最新書き下ろし長編小説。
大変読みやすかったです。
よく見かける過去に戻るお話ですが(例えば「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「異人たちとの夏」とか)、そういうお話に出会うたび、自分でもつい夢想してしまいます。好きなんでしょうね。
ましてやこの本みたいに、反省できる機会を与えられたのなら、どんなにいいでしょう。
だらだら生きるのなんてきっと出来ない気がします。
ギャグはちょっと私には合わないけれど、目頭が熱くなるシーンもありました。
「陰日向に咲く」未読なので、読んでみたくなりました。
内容★★★★
2010/10/06 (Wed) 10:52
幻冬舎新書
2010年7月
2010年6月4日、夫・菅直人が第九十四代内閣総理大臣に選ばれた。総理大臣というと吉田茂や鳩山一郎のような風格漂う傑物を思い起こす私にとって、「本当に菅でいいのかしら」という思いが拭えない。しかしこんな大変な時期に自ら立候補したのだから、覚悟はできているのだろう。私も共に行くしかない――。四十年の結婚生活を通して、最も身近な夫人が菅直人という人間を語る。サラリーマンの息子で、市民運動経験を持ち、かつ非自民出身の総理の知られざる素顔。
(総理菅直人はこんな人!)
●情ではなくロジックで動く
●高邁な理想より現実路線
●思いついたら即、解決したい。だから、家でも常に誰かに電話
●「イラ菅」は前より控えめで大人になった
●関心のないことはまるで記憶しない。親戚の家族構成すらごちゃごちゃ
●仕事第一。セレモニーは嫌い
●振り付けられるのが苦手な即興演奏家タイプ
●他人が作った原稿を朗読するのがヘタ
●大好きな饅頭、大福をやめ、このごろは健康管理にも気をつけている
●口説き下手かも
タイトルはインパクトがあります。
ただ、それから予想される、突っ込んだ政治のお話は皆無なので、その点では期待はずれかも。
確かに、菅総理の私事などが垣間見ることが出来、人柄は少しはわかるものの…。
…まあ、あくまで総理本人ではなく夫人というわけで、他人といえば他人かもしれませんが…。お気楽過ぎるというか、あまり深く考えないだけなのか…。
読んでいて、これでいいのだろうかという不安でいっぱいになってきました。いろいろな面で。
これが現状の日本だと認めるしかないのかもしれませんね。
そういう自分の中の危機感を再確認するという意味では、この本を読んだほうがいいのかもしれませんね。
なにしろ、日本のトップに一番近い人が現時点、どう考えどう感じているのかが書かれているのだから。
私にとってある意味、ホラーより怖かったかも。
内容★★
2010/10/05 (Tue) 10:48
産経新聞出版
2010年7月
どの人生、どの思いにもわしは泣いた。これは、わしが『戦争論』を書くにあたり、読んでは泣き、また読んでは泣いた「英霊の言乃葉」を初めて一般書籍化し たものだ。最期のその瞬間も「私」より「公」を思ったすごい日本人のたちの物語なのだ!――小林よしのり
靖国神社では昭和35年以 来、英霊たちの遺書、遺稿を毎月一通ずつ境内の鳥居横に掲げてきました。これは神社が発行する冊子「英霊の言乃葉」にまとめられ、現在九集まで出されてい ますが、靖国神社でしか買うことができませんでした。本書は靖国神社の全面協力のもと、その膨大な遺書や遺稿の中から小林よしのり氏が、現代の日本人に特 に伝えたいもの、残したいもの100編を選んで再編集し、初めて一般書籍化したものです。涙なしには決して読めない、そして、戦争とは何か、家族とは何 か、日本人とは何かを痛烈に訴える、この夏最大の話題書です。
勿論、文章どおりの解釈だけでも泣けるのは間違いありません。
が、「永遠の0」などを読んだ後だと、その裏に隠された無念までをも想像してしまい、悲しみは深くなります。
戦争終結後、冤罪で処刑された人たちもいたとか、まだまだ知らないことばかりなので、これからも勉強を続けたいと思います。
内容★★★★
2010/09/04 (Sat) 19:02
角川SSC新書
2008年9月
議員から嫌われる議員が明かす議員の内実
政治の現場を知れば日本の現実が見えてくる!
豪華な議員宿舎への入居を拒否して低家賃の民間マンションに一人住まい。運転手つき黒塗り公用車には乗らず、国会へは地下鉄に乗って通う。そんな頑なで稀有な国会議員が語る――、「議員特権の真実」。
日本の議員はなぜ高給取りになったのか?その源は、戦後まもなく施行された国会法第35条にあった。曰く『議員は、一般職の国家公務員の最高の給料額より少くない歳費を受ける』。言い換えれば「国会議員の給料が上がらなければ官僚の給料も上がらない」――。かくして、役人と議員による高給高待遇路線は始まった。流れは地方議員にも波及し、さらに「議員特権」という手当てによって膨れ上がった。本書では、この異常事態の現状を具体的に示す。そして、是正されない理由を「党議拘束」という日本独自のシステムから読み解き、その解決策も提示する。
一気読みでしたね。
読んでいて、驚き、憤りを感じ、悲しくなり、情けなくなり…と忙しかったです。
丸々話を鵜呑みにしていいかどうか判断できるほど、わたしは河村たかしさんのことを知っているわけではないので、意見は極力避けたいとは思いますが、読み終わった今、かなり信じてはいます。
しかし、金の亡者は多いし、政治の世界も小中学校、もしくは部活動と同じようなレベル何ですね。挨拶無視とか、言いたい事を言わせない先輩…。これってイジメ?見ているだけの人も同罪なのでは…。
少しのことを変えようとするだけで、どれだけ難しくなっているのかを垣間見た気がします。
確かに税金の無駄な使い方は多すぎる気がします。ただでさえ、財政難なのに。
河村さんたちの意見が正しくないと思うのなら、真っ向から反対意見が出てもいいと思うのですが。(すでに出てて、わたしが知らないだけ?)
はっきりこれが正しいとか言えるように、もっといろいろ勉強しなければと、痛感しました。そうしたら、河村さんを応援できるかな?
内容★★★★