2010/08/07 (Sat) 15:16
ポプラ社
2009年6月
“心の風邪”で休職中の39歳のエリートサラリーマン・哲司は、亡くなった母が最後に住んでいた美しい港町、美鷲を訪れる。哲司はそこで偶然知り合った喜美子に、母親の遺品の整理を手伝ってもらうことに。疲れ果てていた哲司は、彼女の優しさや町の人たちの温かさに触れるにつれ、徐々に心を癒していく。
喜美子は哲司と同い年で、かつて息子と夫を相次いで亡くしていた。癒えぬ悲しみを抱えたまま明るく振舞う喜美子だったが、哲司と接することで、次第に自分の思いや諦めていたことに気づいていく。少しずつ距離を縮め、次第にふたりはひかれ合うが、哲司には東京に残してきた妻子がいた――。
第三回ポプラ社小説大賞特別賞受賞作。
「四十九日のレシピ」と同じく、こちらでも泣かされました。
日々の生活に追われ、一緒にいるのが当たり前になり、相手を思いやる気持ちがおざなりになる。だから、相手が本当に助けを必要としているときに力になれない。なんて寂しいことは、現実にもよくあることだと思います。
「親子の愛情は変わりはないが、男女の愛情は育てていかないと枯れる」
その通りだと思います。夫婦だからって、思いやりや尊重を忘れてはおしまいですよね。私も以前はそうだったので、その状況は痛いほどわかります。
お金や地位ではなく、やすらぎ。幸せの一つの形がここには提示されています。
シュン君に泣かされ、ラストで泣かされ…。幸せに泣けるっていいですね。
伊吹有喜さんの作品はまだ2つしかありませんが、これからも読み続けていきたい作家の一人となりました。
この本と「船に乗れ!」のおかげで、クラシック音楽が気になってきましたよ。
あと、マッサージも気持ちよさそうだったな。
内容★★★★★
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