2010/12/20 (Mon) 11:08
文藝春秋
2010年11月
ぴかぴかの夫とかわいい息子と何不自由なく暮らす30歳の梨々子(りりこ)にふってわいた夫のUターン話。実家との距離感、ご近所付き合い、子育て、夫の鬱。このまま年を取っていくのかしらと迷う彼女はかつてのアイドルと隠れて会うようになり……。あちらでつまずきこちらで壁にぶつかる1人の女性の10年間を、定点観測のようにつぶさに追いかける等身大の物語。気づけば誰もが自分を重ねてしまうような清々しい“成長しない成長小説”です。
相変わらず、日常での心理を拾う巧みさに感心してしまいます。
「普通かそれ以外、その分け方だけでも大変なのに、普通に以上や以下をつけてしまっては、追い詰められるのは私だ。」
「自分はこんなところにいるべきではないのだ、いつか何者かになるのだと思うことで、自分を支えてきたような気がする。自分に言い訳してきたということだと思う。私の思う「何者か」は周囲に自慢したい姿だった。」
結局人はあがいて悩んでごまかして疲れ果てて…。折り合いをつけて生きていくしかないのでしょうか。
現実そうなんでしょうけど、何だかそう考えて生きていくのは私はいやだなぁ。多分私は、現実を受け入れられないほど弱いのでしょう。
せめて周りを気にせず、普通とか普通じゃないとか考えない強い心を持ちたいのですが、それさえもままならないです…。
内容★★★★
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