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2010/12/17 (Fri) 09:59

講談社
2010年9月

『弔鐘はるかなり』(1981年)以来、北方ハードボイルド原点の街、横浜を舞台に描く渾身の純愛小説!ハードボイルドの雄として疾走した30年。いま、記念碑的作品が生まれた。北方ハードボイルドは大人のたしなみである。講談社創業100周年記念出版

こんな愛しかた、だれにもできない。
赤レンガ倉庫。関内のバー。運河に映るハーモニカハウス。外国人娼婦たち。港町の裏表を見つめてきた硲冬樹は、人妻、響子から死期が近いことを聞かされる。硲は、彼女の裸身に、だれも目にすることはない作品を刻みつけることを決意する。

娼婦に入れ込み、すべてを失うチンピラ。肢体をくねらせるクラブの女。硲の絵に魅せられたやくざ。長屋酒場(ハーモニカハウス)の女絵描き――。暗い川面は、港町の男と女たちを映し出す。そして人妻、響子は、余命半年なのだと告げた――。







簡潔で感情を抑えた文章が、読み始めてすぐに私をハードボイルドの世界へと引き込みました。
雰囲気に酔いしれる楽しみだけでなく、絵画に縁のない私にとって、絵とはどんなものかを教えてくれた気がします。
決して手に入れることのできない幻影を求めて生きる男の哀愁が描かれていた本だと、私は感じました。
本当に純粋で、ごまかすことの出来ない男の生き様を見させていただきました。

内容★★★★★


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