2010/09/21 (Tue) 19:33
角川書店
2006年10月
東京生まれの大学2年生、橋本太一は大学の同級生6人ほどのグループの中心にいて、そのなかの一人、五島麻里とつき合っていた。麻里はルックスも性格もよく、皆の憧れの的だったが、太一の前にある日、強烈なキャラと奔放な行動力を併せ持つ美丘があらわれる。彼女のいるところ何かと物議を醸すために皆からわれることの多かった美丘だが、太一はその嵐のようなエネルギーに次第に魅かれるようになる。太一から告白され、初めて結ばれた夜、美丘は交通事故の手術で移植された硬膜から、クロイツフェルト=ヤコブ病に感染し、いつ発症してもおかしくない身であることが判明する。残りわずかとなった美丘の生命を前に同棲をはじめる二人。太一は美丘がこの世に生きていた証人になろうと決意するが……。
ドラマはまったく観ていませんが、読んでみました。
泣けました。
設定自体は、「セカチュー」を連想してしまうような、ありきたりな感は否めないですが、それに向き合う主人公たちの行動は、胸打たれるものがありました。
印象に残る言葉も多く、たとえば、
「ぼくたちは周囲にあるすべてが変わらないままだと仮定して、なんとか不確かな命を今日につなぎとめている。」
「今思うと、どうしてもっとおたがいに嫌なところを見せておかなかったのか、後悔しているくらいだ。ぼくがよく思い出すのは、きみのいびきやタオルでなんとか隠された乳房の先や、ごくごくとジュースをのみくだす白いのどなのだから。
美丘、きみはどこか空のうえのほうで、ぼくを思いだすことはあるだろうか。そのときのぼくはどんな姿をしているかな。いつか、ぼくがそちらにいく日がきたら、おたがいの嫌なところをひとつひとつ全部あげて、笑い飛ばそう。」
とか。
何であれ、死は避けられないもの。
結婚する、もしくは恋人ができれば、いつの日か、彼らのように逝ってしまう方と見届ける方に別れるときが来てしまうのですね。
そのとき、彼らのようなつらさに、私は耐えられるのでしょうか…。
内容★★★★★
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