2010/09/18 (Sat) 21:40
双葉社
2010年6月
父親が被害者で母親が加害者―。高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と、向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。『告白』の著者が描く、衝撃の「家族」小説。
直接的な攻撃ではなく責めでもないのだけれど、じわじわと感じさせるプレッシャー。それをしている側は、無意識のうちに態度の端に出してしまっていって、自覚がない。だから攻められている側の気持ちにも気付かない。そんな微妙な心理が巧みに描かれていると思いました。
しかし、湊かなえさんの描く登場人物は、リアルなだけに、いい人と簡単に言ってしまえる人は皆無で、みんなドロドロしてますね。だから人間か…。
真相がなかなか明らかにならず、最後まで飽きさせないのも見事ですが、死んでしまった人よりも今を生きている人、みたいな理想よりも現実的な終わり方もよかったと思います。
今も日本ではいろいろな事件が起きていますが、報道だけでは本当の真相というか動機なんてわからないんだよなぁ、なんて考えてしまいます。
内容★★★★
PR
Comment