2010/05/08 (Sat) 10:33
2008
監督:フェルナンド・メイレレス
出演者:ジュリアン・ムーア、マーク・ラファロ、伊勢谷友介、木村佳乃、ダニー・グローヴァー、ガエル・ガルシア・ベルナル、サンドラ・オー
原題:Blindness
上映時間:121分
製作国:日本、ブラジル、カナダ
始まりは一人の日本人男性だった。突然目の前が真っ白になり完全に失明する謎の伝染病は、彼の発症を皮切りに爆発的な勢いで拡がっていく。有効な治療法のない中、政府がとった政策は感染者の強制隔離だった。次々と収容所に集められていく人々。最初に失明した日本人とその妻、彼を診察した医者や売春婦、黒い眼帯の老人、幼い少年・・・。
そしてその中にただ一人"見えている"女がいた。なぜか発症を免れたが、夫の身を案じて紛れ込んだ医者の妻だった。収容所は軍によって厳しく監視され、食料や薬品の要求もままならず、衛生状態も日増しに悪化していった。感染者の不安はやがて苛立ちへと変わり、所内の秩序は崩壊してゆく。生き残るのは果たして誰なのか―?
パニック・サスペンスとか謳われていますが、あまりそういう感じではなく、メッセージ性の強いドラマに感じました。
そのメッセージは明確で、物理的に目が見えない状況を通して、人が人のことを見ようとしていないこと、当たり前のように思っていることが本当はとても大事なことなのにおざなりにしていること、などが伝わってきます。
ただ残念なのは、主人公のみならず、人々の行動があまり現実っぽく感じなかったことです。
どうしても、物語用に配置された行動としか取れなかったのです。ここまで人々は愚鈍ではないと思うのですが…。
でも、目に限らず、人間の一つの感覚が一斉に突然消えるとしたら、社会はこのように混乱に陥るのでしょうね。人間って脆いと、あらためて実感しました。
原作は、ポルトガルの作家ジョゼ・サラマーゴ(José Saramago)の「白い闇」(Ensaio sobre a Cegueira)。
続編「Ensaio sobre a Lucidez, lit. Essay on Lucidity」(Seeing)もあり、原作はどんな感じなのか気になるところです。
内容★★★★
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