2010/05/08 (Sat) 21:38
講談社
2007年9月
一九八八年、世はバブル景気の頂点。「神の手」をもつ佐伯教授が君臨する東城大学総合外科学教室に、帝華大の「ビッグマウス」高階講師が、新兵器を手みやげに送り込まれてきた。「スナイプAZ1988」を使えば、困難な食道癌の手術が簡単に行えるという。腕は立つが曲者の外科医・渡海が、この挑戦を受けて立つ。
スナイプを使ったオペは、目覚ましい戦績をあげた。佐伯教授は、高階が切った啖呵の是非を問うために、無謀にも若手の外科医のみでのオペを命じる。波乱含みの空気のなか、ついに執刀が開始された―。ベストセラー『チーム・バチスタの栄光』に繋がる、現役医師も熱狂する超医学ミステリー。
「ひかりの剣」と確かに対をなしています。
ほとんど同時期でシンクロもしているあたり、にくいです。
「ひかりの剣」がスポ魂一直線だったのに対し、こちらは医療ドラマ全開といった感じです。
そりゃあ高階先生、剣道みる余裕はないですね。
「チーム・バチスタの栄光」よりおよそ20年前のエピソードとなっており、勿論海堂ワールドお馴染みのキャラがたくさん登場します。
大学病院の内部の複雑で恐ろしい世界が、わかりやすく描かれています。
今回のメインは、世良、高階、渡海、佐伯といったところでしょうか。それぞれにいい面があって、ホント、キャラに愛着が湧いてしまいます。で、どんどん海堂ワールドに嵌っていってしまうというわけですね…。
タイトルにもちゃんと仕込があり、ラストのパンチとなっています。
良い本でした。
「高階先生は俺に、外科医を辞めるな、と言った。たとえ患者が目の前で死んでも逃げるな、目を逸らすな、と言った。俺は先生の教えに従う。俺は外科医です。患者を生に引き戻すためなら万難を排して総ての手を打つ。俺は外科医を辞めない。辞めるもんか。でも、目の前で患者が死ぬのを見るのは絶対にイヤなんだ」
内容★★★★★
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