2010/05/07 (Fri) 00:57
中央公論新社
2009年11月
家電量販店の店員・遠藤二郎は、イタリアで修行した「エクソシスト」というもう一つの顔を持つ。遠藤は他人の発する「SOS」を見過ごせない性格だった。ある日、知り合いの「辺見のお姉さん」にひきこもりの息子・眞人の悪魔祓いを依頼され、辺見家に赴く。
一方、桑原システムの社員・五十嵐真は、20分間で300億円の損失を出した菩薩証券の株誤発注事故の調査を命じられる。 菩薩証券は、ミスの原因をシステムのせいにしたがっているという。聞き取り調査を始めた五十嵐は、なぜか奇怪な幻想に翻弄されていく。
眞人の部屋で「西遊記」を発見する遠藤。そして五十嵐の前には異形の猿が......。これは現実か妄想か。二つの物語のゆくえはいかに。
五十嵐大介さんのコミック「SARU」とのコラボだそうです。
語り口は伊佐幸太郎さんのトーンで、相変わらず楽しい雰囲気にしてくれるのですが、何がいけなかったのでしょうか。今回はわくわく読み進めることができませんでした。
途中で、「アヒルと鴨のコインロッカー」と同じ時間差の手法が使われているな、とは推測できましたが、今回は失敗に終わっているようにも思えます。
筒井康隆さんのハチャメチャぶりを無理に組み入れたような感じさえしました。
終わり方も、何か煙に巻かれたような感じでしっくりしませんでしたが、いろいろ実験というか開拓していく精神は悪くないと思います。
でもたまにはいつもの調子のを書いて欲しいです。
「あるキング」とこの「SOSの猿」と続いていると、心配になってくる読者もでてくるのではないでしょうか。私も一抹の不安を感じなくはないです。
「人間には、メサイアコンプレックスというものがあるらしい。誰かを救ってあげたい、というこだわりで、それは、自分自身の存在価値を証明したい、という弱さから生まれているらしくて」
内容★★★
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