2010/07/26 (Mon) 10:36
文藝春秋
2010年5月
昭和6年、若く美しい時子奥様との出会いが長年の奉公のなかでも特に忘れがたい日々の始まりだった。女中という職業に誇りをもち、思い出をノートに綴る老女、タキ。モダンな風物や戦争に向かう世相をよそに続く穏やかな家庭生活、そこに秘められた奥様の切ない恋。そして物語は意外な形で現代へと継がれ……。最終章で浮かび上がるタキの秘密の想いに胸を熱くせずにおれない上質の恋愛小説です。
第143回直木賞受賞。
展開は地味ながら、何故か引き込ませる語りはさすがです。
戦時中であっても、考えてみれば当たり前なのですが、大局が見られないため、実感に乏しかったり、情報操作されていたりする点がリアルでした。
食糧不足とかはあるものの、悲惨なほどの緊迫感がないのも、情報がないとそんなものかなと、納得でした。
日本のニュースだけでなく、もっと視野を広げなければと思わされました。
人と人とのつながり、連帯感…。
何が一番大切なことなのか、考えさせられてしまいますね。
何気に出てくる最後の仕掛けも、やられたって感じでした。
内容★★★★
PR
Comment