2010/12/14 (Tue) 09:08
文藝春秋
2010年10月
北海道在住のブリキ職人・夏目清茂(74歳)はある夜、脳梗塞で突然昇天する。その死を悼む息子、娘、そしてさまざまな知り合いたち。葬儀の日まで、そして葬儀の際に彼らが思い出す清茂の姿は、機嫌がよく、優しく、世話好きで――謎の部分もあった。清茂の死を中心に、さまざまな人生が追憶と回想の中で交錯する。『田村はまだか』で吉川英治文学新人賞を受賞した著者の傑作長篇小説。
故人の家族や故人に関わった人による話により、夏目清茂さんの人となりが浮かび上がってくるという構成。
何気ないというか、微妙な心理も拾って描写されていることが多々あり、時々はっとさせられます。これが朝倉さんの味かなと思ったり。
こうして読み終わってから考えてみると、死んでしまえば自分がどう思って生きていたかより、結局は周りにどう思われていたか、どう映っていたかしか残らないんだなぁとしみじみ。あたりまえかもしれませんが。
内容★★★★
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