2010/12/06 (Mon) 11:26
講談社
2010年8月
誰がうそをついている?幼なじみの四人が校庭に埋めた拳銃は、二十三年の時を経て再び放たれた。それぞれの想い出が重なるとき、時を越えたさらなる真実が目を覚ます―!全てはタイムカプセルにとじ込めた―はずだった。第56回江戸川乱歩賞受賞作。
途中で全部わかってしまう、伏線が見え見え過ぎる書き方は、ある意味フェアといえなくもないけど、興醒めしてしまうのは確か。
そうであるならば、主人公たちの苦悩をもっと掘り下げて書くなどの、惹き込む要素が欲しかったです。
ただ、よく細部まで考えて作られているのはよかったと思います。これおかしくない?と思っていたところもフォローされているし。
推理小説入門者には十分楽しめると思います。(って私もほとんど読んでいるとはいえませんが)
しかし、お金の行方はどうなったのかなぁ…?
内容★★★
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2010/12/06 (Mon) 09:49
ホーム社
2010年10月
10月放送の、NHK・BSハイビジョン紀行番組「プレミアム8」に登場する4人の女性作家が、それぞれヨーロッパのスローフードやソウルフードを求めて旅をし、その土地を舞台に書かれる短編小説アンソロジー。その小説は、ドラマ化され、番組に挿入される。井上荒野はピエモンテ州(イタリア)、江國香織はアレンテージョ地方(ポルトガル)、角田光代はバスク地方(スペイン)、森絵都はブルターニュ地方(フランス)。
ほとんどテレビを見ない私は、当然その番組の存在さえ知ることなく、この本を手に取りました。
人と食事って本当に密接なんだなって改めて実感しました。
勿論生きていくうえで食べることは重要ですが、食事と思い出との繋がり、人との繋がり…。そう、料理は料理としてただ存在するだけではないんだなと。
そこらへんをもっと考えながら、感じながら、食事するときただ食べるのではなく、そんなことを意識していきたいな、なんて思います。
内容★★★
2010/12/04 (Sat) 17:31
幻冬舎
2010年9月
赤いトンネルを抜け、“首夢”の世界に迷いこんだ女子高生・凪浜そよか。「おまえは呪われた。おまえが死ぬまで残り寿命…」連続して与えられる不可解なミッション。失敗すれば死が訪れる、容赦ない残酷なゲーム。クリアできなかった者が次々と死んでいくのを目の当たりにしながらも、そこで出会った仲間とともに、敢然と立ち向かうそよか。果たして、逃げ切れるのか?そして、いったい誰が、なんのためにこんな呪いを―。
えーっ。てところで終わっています。これで続編がでないのなら、なんだったの?ってなるくらいほとんどの謎が解決しないままです。
せめて「序章」だの「1」だの、つけて欲しかったですね。
夢の世界が舞台だけに荒唐無稽(魂が宇宙に飛んだりとか)なのはいいとしても、キャラが薄いため感情移入できず、あまりスリルは感じませんでした。
知的ゲーム要素がありそうで、たいしたアイデアがないのも、ちょっと…。
―って、調べたらどうやら続きがでてる模様。
評価は続きを読んでからですね。(でも今は続きを読むかどうか微妙な心境ですが)
内容★★★
2010/12/03 (Fri) 17:28
ホーム社
2010年9月
イラストと小説が響かせる、生きるよろこび
松尾たいこのイラストと、それをモチーフに描かれた角田光代の連作短編小説。女性の一生を通して、出会いと別れ、生きるよろこびとせつなさを紡いだ、色彩あふれる書き下ろし競作集。
絵心がないのでたいした感想にはなりませんが、グラデーションのない色の組み合わせで描かれた美しい絵に、動物と話したり、生き霊となったりとファンタジー色の強い女性の一生を描いたお話がマッチした、大人のための絵本といった感じでしょうか。
テーマは勿論、タイトル通り「なくしたもの」。
これを読んでいて、自分のなくしたものたちを思い浮かべました。
多分今思い出せないものもたくさんあるし、そのうちの多数は、示されれば思い出すことが出来るものでしょう。
そのなくしたものがちゃんと残されている場所。それは死後の世界?
もし本当にそうだとしたら、死ぬことも悪くないのかもしれませんね。
でも、その死後を楽しむためにも、生きているうちにたくさんの思い出を作らなければならないことは言うまでもありませんが。
また、ものだけでなく、なくしてしまった情熱や感情、ピュアな気持ちなんかもあるといいな。
内容★★★★
2010/12/02 (Thu) 21:42
朝日新聞出版
2010年9月
零細コンサルタント会社へ左遷させられた薮内之宏は、業界でも悪名高い社長の伊比大介と共に、長野県の酒造メーカーを大胆な手法で手に入れる。だが2千億円の巨大取引成立寸前に横やりが入った。その所有地の土壌汚染がテレビで告発されたのだ。一体誰が何のために!? やがて予想もしなかった巨大企業が薮内たちの前に立ちはだかる! 息を呑む頭脳戦&どんでん返しの連続――まさに第一級の謎解きエンターテインメント!
日本に住んでいると、あって当たり前と思ってしまいがちな水。
でも、それは世界からみたら少しも当たり前のことなんかではなく、今も10億人の人たちは水不足に苦しんでいるとか。
その水資源さえ商売にしてしまう商社。そこに天下りのシステムを構築する官僚たち。
知らなかった社会の構造をまた一つ学びました。
資本主義だから、食う者と食われる者がでるのは仕方がないことなのでしょうか。
まったく縁のない世界でしたが、商社マンってとても大変ですね。私には絶対無理。
内容★★★★