2010/08/18 (Wed) 18:39
講談社
2009年12月
あいつの人生が終わり、僕たちの長い旅が始まった。
中学2年でいじめを苦に自殺したあいつ。遺書には4人の同級生の名前が書かれていた――。
背負った重荷をどう受け止めて生きればよいのだろう?悩み、迷い、傷つきながら手探りで進んだ20年間の物語。
講談社創業100周年記念出版
さらに大きく進化した重松清による書き下ろし感動傑作!
なぜ、あいつは僕に、<親友><ありがとう>と書きのこしたのだろうか。あいつを見殺しにした<親友>の僕と、遺書で<ごめんなさい>と謝られた彼女。進学して世界が広がり、新しい思い出が増えても、あいつの影が消え去ることはなかった。大学を卒業して、就職をして、結婚をした。息子が生まれて、父親になった。「どんなふうに、きみはおとなになったんだ。教えてくれ」あいつの自殺から20年、僕たちをけっしてゆるさず、ずっと遠いままだったあのひととの約束を、僕はもうすぐ果たす――。
第44回吉川英治文学賞受賞
「人間って、死にたくなるほどつらい目に遭ったときに絶望するのかな。それとも、死にたくなるほどつらい目に遭って、それを誰にも助けてもらえないときに、絶望するのかな。」
「忘れることで立ち直るのなら、僕は立ち直らなくていい。立ち直りたくない、とも思う。」
などなど、心に沁みる言葉が随所に散りばめられており、テーマも深く、一時も気を抜くことを許さない本でした。
自殺は逃げだとか言う人もいますが、絶望の度合いは本人にしかわかるはずもなく、軽々しくは言えないとも思うのです。
これは鬱病の人についても同様に思うのですが、自力では抜け出すことができず、誰かが助けの手を差し伸べないといけないのではと。
この本は命の大切さを訴えているように思えました。
自殺だけでなく、殺人、事故などでも。命が失われることによって、遺族にも加害者にも、その後の人生にずっと深い影響を与えていきます。
いじめやカッとなっての殺意、不注意…。
謝ったり後悔したってどうにもならない、人の命が軽くないというのはこういうことなんだと、重大なことなんだと、この本は訴えているように思います。
内容★★★★★
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