2010/03/30 (Tue) 10:58
2009
監督:森淳一
出演者:加瀬亮、岡田将生、小日向文世、鈴木京香、吉高由里子、渡部篤郎
上映時間:119分
春が二階から落ちてきた。
春(岡田将生)というのは、泉水(加瀬亮)の二歳下の弟の名前だ。桜が満開に咲き誇る高校の構内を、泉水からバットを受け取った春は、「じゃあ、行こう」と言ってゆっくりと歩き出す。「どこに?」「やっつけに」春は、クラスのある高飛車な女生徒を襲おうとする男子生徒を退治しに、体育倉庫へ向かっていた。遠くから女の悲鳴が聞こえる。すると、春は弾かれたように倉庫へ駆け込み、逃げ出す男子たちを追って、二階から鮮やかに飛び降りていく。あっさりと片をつけ、礼を告げる女生徒にもバットのグリップで一撃を加える春。「別におまえを助けにきたんじゃないんだ」泉水はその光景を呆然と見つめていた。
7年後。母・梨江子(鈴木京香)の命日に実家へ集った泉水と春、そして父・正志(小日向文世)は、正志お手製のおでんシチューを突きながら団らんを囲んでいる。大学院で遺伝子の研究をする泉水と、落書き消しの仕事をして働く春は、父と母の溢れるような愛情を受けてすくすくと育った。ある日、泉水は食あたりを疑い病院へ行った父を、実家に見舞った。「ガンだって」とあっけらかんと告白する正志。本当に大丈夫なのか? とため息をつく泉水に、春は「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」と諭す。重たい空気が、一瞬、ふわりと軽くなる。
その頃、仙台市内では連続放火事件が発生していた。春は自分が落書き(グラフィティアート)を消した場所の近くで、必ず放火が起きていることに気づき、泉水に相談する。春が写した落書き現場のポラロイドには、壁に大きく描かれた「God」「Can」「Talk」「Ants」「go to」「America」といった文字。放火犯からのメッセージだと考えた春は、半信半疑な泉水を誘って夜の街を見張りに出る。だが、手分けして張り込みをするふたりのそばで、またしても火の手は上がる。
だが、放火と落書き(グラフィティアート)にどんな関係があるのか? 頭を悩ます泉水に、大学院の友人・山内(岡田義徳)は、24年前の連続事件の鍵を握る葛城(渡部篤郎)という人物がこの地に戻ってきたことを知らせる。
「お前たちに話しておくことがある」。7年前、梨江子が自動車事故で亡くなった時、正志は泉水と春のふたりの前で、家族のある秘密を初めて語った。「俺たちは最強の家族だ」どこか誇らしげな表情の正志のことを、泉水と春は笑って見ていた――。
新たに見つかった落書き(グラフィティアート)の写真を携え、今度こそ放火魔を捕まえようと話す春に、「そんなことやってるヒマなんかないんだ」と、抑えていた感情を爆発させる泉水。外に飛び出た泉水は、そこで以前も何度か見かけた謎の美女(吉高由里子)の姿を発見する。春をつけ回す夏子は、泉水に向かって放火事件の真相に関わる衝撃的な事実を語り始めた――。
伊坂幸太郎さんの同名小説が原作。
原作を読んだのが半年くらい前なので、細かいところは覚えていませんが、少なくとも原作のイメージを損ねることのない映画に仕上がっていると思いました。
イメージは人それぞれ違うとは思いますが、私の場合、泉水、春、葛城の三人がイメージどおりでした。かといって、後のキャストが違和感があったわけではないです。あくまで、私が小説を読んでいたときと人物像が違うというだけで。
原作の省略、変更は、原作を読んでいない人に対する配慮からも、うまく行われていると思いました。
ただ、その省略されたところももったいないので、是非未読の方には原作を読んでもらいたいところです。
法律は、集団で生きていくためには必要なものですが、法律に縛られすぎ、何のための法律なのか見失っているのではと思うことは、この作品に限らず、思うところがあります。(実は「流星の絆」は、その部分だけが好きでなかったりして。)
内容★★★★
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