2011/01/13 (Thu) 20:21
講談社
2010年10月
2022年クリスマスイブ、ハワイ沖の海底で、グレゴリオ聖歌の旋律を正確に繰り返し歌うザトウクジラが発見された。細胞を分析した結果、驚くべきことに、そのクジラは年齢が1400年を超えていることがわかった。クジラの遺伝子を解析することにより、人類はついに不老不死に関わる遺伝子を特定する。その魔法のような遺伝子は、"Singing Whale" 、「歌うクジラ」と呼ばれるようになった。
それから100年後...。あらゆる階層において棲み分けが完成し、「理想社会」と呼ばれていた日本。アキラという一人の少年が、分断された最下層区域である「新出島」から脱出をはかろうとしていた。アキラは、罪を犯して処刑されることになった父から、不老不死遺伝子「歌うクジラ」に関する重要な秘密を託されたのだった。その秘密情報を書き込んだチップを体内に埋め込み、最上層施設に住むある人物に届けるための、アキラの旅がはじまった。
単軌鉄道汎用車、飛行自動車、水陸空三用無限軌道車、宇宙エレベーターなどを乗り継ぎ、体内から猛毒物質を分泌する若者、反乱移民の子孫、100歳を超えながら性的な冒険を繰り返す女などと出会い、メモリアックと呼ばれる記憶再現装置で謎の交信を続けながら、何か巨大なものに導かれるように、果てしないアキラの旅は続く。それは、22世紀の「理想社会」の現実を目撃する地獄巡りのような旅だった。
そして、アキラはついに目的地にたどり着く。しかし、待っていたのは、ある人物の想像を絶する告白だった。青い地球を彼方に眺める宇宙空間で、アキラの最後の挑戦と戦いが開始される...。
銀河鉄道999平成版といった感じでしょうか。
そこにはロマンや希望もないけれど…。
結構読みにくく、入り込むこともできなかったけれど、現在や将来に考えさせられること、はっとするような真実を突いた言葉などが随所に散りばめられてて読み応えがありました。
内容★★★★
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