2010/05/30 (Sun) 00:20
文芸社
2009年3月
近未来、日本はかねてより対立の続いていた東西がついに分裂。東経138度線に巨大な壁が建設され、一触即発の状態が続いていた。人はもちろん、物資、情報、すべての交流が禁止されてしまう。
進学のため、たまたま東京に来ていた広島出身の東条博文は、突然の壁の建設で家族、そして将来を約束した恋人・恵実と生き別れになってしまう。小学校の教諭をしながらも、なんとかして西に戻る手はないか、その機会を待っていた。
ところが、ようやく潜入した西で待っていたのは、独裁者が君臨し、貧富の格差が拡大、住む場所まで限定された階級社会だった。母子家庭で貧しかった恵実はどこにいるのか? 彼女を捜し出し幸せをつかむため、博文の孤独な潜入劇がはじまる。窮地に立たされた2人に、予想外のラストが待ち受ける!!
映画「リアル鬼ごっこ2」も公開間近ということで、初めてこの山田悠介さんの本を手に取ってみました。
とにかく、この著者の本は、装帳が目立ってたり、プロモーションが大々的だったりと、気になる半面、胡散臭さも感じてはいたのですが…。
この本を読む限りでは、なかなか厳しいものがありますね。
日本が二つになるのはいいとしても、もう少し設定を煮詰めないとまずいのでは。あまりにもいい加減過ぎませんか?
しかも、2027年って…。今とほとんど変わらないなんて思えないのですが…。普通の携帯にワンセグ、普通のテレビにガソリン車。う~ん、挙げればきりがないですが…。
どうせ突込みどころ満載なら、もっと思いきった内容にしてくれれば、まだ楽しめたのに。
タイトル負けした、個人の恋愛が主体となった、こじんまりとしたストーリー展開だし。
心理描写が薄っぺらで感情移入しにくいのにもまして、この主人公、人ばかり頼って何にもしないし、読んでいてストレスが溜まる一方でした。
のわりには、230キロのスピードでびゅんびゅん車を追い抜く凄腕レーサーみたくなっているので、さらに興醒めでした。
「捕まれば、彼女が死刑になることは間違いない」とか「今ごろ、拷問でひどい目にあっているかと思うと、すまない気持ちでいっぱいになる」って思うくらいなら、一緒に死ぬ気概は持てなかったのでしょうか。よくわかりません。
ストーリーにここまで意外性がないのも珍しいし。
って、文句ばっかり書いていますね、私。
こんなんで、よく最後まで読んだものだと、今さら思います。
多分、最後までどこか期待していたのでしょうね。
でも、1冊だけで判断してはいけないとは思うので、いつか違うタイトルも読んでみようとは思っています。
内容★
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