2011/01/18 (Tue) 09:32
祥伝社
2010年10月
小田急線・世田谷代田駅から徒歩五分、築ウン十年、安普請極まりない全六室のぼろアパート・木暮荘。現在の住人は四人。一階には、死ぬ前のセックスを果たすために恋を求める老大家・木暮と、ある事情から刹那的な恋にのめり込む女子大生・光子。二階には、光子の日常を覗くことに生き甲斐を見いだすサラリーマン・神崎と、3年前に突然姿を消した恋人を想いながらも半年前に別の男性からの愛を受け入れた繭。その周りには、夫の浮気に悩む花屋の女主人・佐伯や、かつて犯した罪にとらわれつづけるトリマー・美禰、繭を見守る謎の美女・ニジコたちが。一見平穏に見える木暮荘の日常。しかし、一旦「愛」を求めたとき、それぞれが抱える懊悩が痛烈な哀しみとしてにじみ出す。それを和らげ、癒すのは、安普請であるがゆえに感じられる人のぬくもりと、ぼろアパートだからこそ生まれる他人との繋がりだった……。
木暮荘を取り巻く様々な人々を主人公にした連作短編集。
主役になるのは住人とは限らず、あまり接点のない人までといったバラエティーに富んだものとなっています。
様々な人による様々な視点によるその人物の印象と本人とのギャップが浮き彫りになり、普段いかに人の一面しか見ていないのかがよくわかります。
時には生々しいお話もありましたが、爽やかあり、悲しみあり、ユーモアありで楽しめました。
内容★★★★
PR
Comment