2011/04/05 (Tue) 09:59
エンターブレイン
2010年12月
ネットで話題騒然の『まおゆう』が遂に登場!
王道RPGにおけるオーソドックスな対峙---
片や、剣と魔法を自在に操つり、一人で一軍にも匹敵すという、勇者。
片や、魔界のすべてを統べる、魔王。
魔界にそびえる魔王城、その奥深くにある謁見の間。
魔王のあまりにもありがちな問いと、勇者のわかりきった答えから、全世界を巻き込んだ魔王と勇者の冒険劇が、いま始まる。
書籍化にあたり著者である橙乃ままれ自身による大幅な加筆修正はもちろん、この作品に惚れ込んだゲームデザイナー桝田省治が全面監修。 この物語を見ずしてファンタジーは語れない!?
昔は「ドラクエ」とか「FF」とか、よくやりました。
でも、魔王とか倒した後、本当にめでたしめでたしとなったのか…。
まあ、そんなことは考えもしませんでした。クリアの満足感だけで。
この本は、あえてそんなことを現実と摺り合わせて考えた物語といえるのではないでしょうか。
ファンタジー小説よりも現実寄り。そんなところが新しいかもしれません。
形式も変わっていて、場所と会話文と擬音だけでほぼ構成されています。
シナリオから「動き」の解説を取り除いた形というのでしょうか。なので、登場人物たちの動きには若干の想像力が必要かも。(特にアクションシーンでは)
世の中の仕組みについてわかりやすく物語に絡めて書かれていて、池上彰さんより一段敷居が低いかもしれません。
内容★★★
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2011/03/31 (Thu) 13:50
講談社
2010年12月
20××年、中国でサッカー・ワールドカップが開催された。しかし、熱狂するスタジアムから遠く離れた雲南省で、致死率60%の強毒性新型インフルエンザが出現。中国当局による必死の封じ込めも破綻し、恐怖のウイルスが世界に、そして日本へと向かった。インフルエンザ・パンデミック(世界的大流行)阻止のため、政府対策本部のアドバイザー・元WHOの優司は空港での検疫を徹底させるが、ついに都内にも患者が発生。総理の瀬戸崎は空前絶後の“東京封鎖作戦”を決断した。
冒頭から、映画を観ているかのような展開。
地震とパンデミックでは勿論違うところはあるものの、人々の生存のために何が必要になるのかという点においては驚くほど重なる部分も多いのだと気づかされました。
どう繁栄しようとも、いろいろな面で人って脆いままですね。
でも、どんな絶望的状況でも立ち上がる人たちがいて支える人たちがいて、必ず再起する。
人ってやっぱり素晴らしい。
人が集まるところ、ちょっと怖くなりそう…。
なんていいながら、明日映画館行く予定だったりして。
内容★★★★
2011/02/28 (Mon) 10:48
幻冬舎
2010年12月
あらゆる悲劇を背負って日本に生まれた一人の青年ナオミチ。
その19歳の短い生涯に、壮絶なまでに無償の愛を注いだ女性実業家による、慟哭の手記。
中田英寿、北島康介など有名スポーツ選手のマネジメントを手がけ、敏腕女性経営者として知られる著者は、仕事で訪れた児童養護施設で、拗ねた目をした男の子に出会った。ナオミチ3歳。はじめは反発していたナオミチだが、次第に心を開くようになり、著者は自分の家族に迎え入れようと決意する。しかし、周囲の無理解が故に二人は引き裂かれ、ナオミチは行方不明に――。10年間「会いたい」と一心に思い捜し続けて、奇跡的に再会を果たした二人だったが、19歳になったナオミチは仕事も住む家もないホームレスになっていた。そして、その2ヵ月後、二人には永遠の別れが待っていたのだった……。「私たちはなぜ出会ってしまったのだろう」「豊かな日本にあらゆる悲劇を背負って生まれたナオミチの生涯とは一体何だったのだろか」彼を失って今も尚、問い続ける著者による慟哭の手記。
もしこの著者が養子に迎えることが許可されたならば…と考えると、居た堪れない気持ちになります。
規則の厳しさが、犯罪抑制のためというのはわからないでもないけれど、もう少し柔軟性があってもいいのではないかと思いました。
内容★★★
2010/12/18 (Sat) 18:48
東京創元社
2010年10月
ニュージーランドの全寮制女子校に編入してきたジュリアン。彼女は同校の卒業生である祖母が遺した手記と、古い手紙を携えていた。手記には学院の教会堂で起こった残虐な殺人事件が、手紙には復讐をにおわせる不吉な一文が書かれていた。そして、ジュリアンと6人の同級生に、ふたたび酷似した状況で、悲劇がふりかかる……。これは41年前の事件の再現なのか? 少女たちを脅かす、封印された謎とは? 第20回鮎川哲也賞受賞作。
2作同時受賞ということで、どうしても「ボディ・メッセージ」と比較してしまうのですが、人物の書き分けという点では圧倒的にこちらの方が上手かったですね。こちらも私の苦手なカタカナの登場人物ばかりだったにもかかわらず、全然支障ありませんでした。
内容的にも、犯人に追い詰められるというサスペンス的要素もあるこちらのほうが好みでした。
ニュージーランドという国自体存在しか知らなかった私には、日本との歴史的関連も含めて勉強にもなりましたし。
全寮制女子校という設定も、雰囲気があってよいと思います。
ただ、ある重要人物はエピローグを含めとても詳しく書かれているのに、犯人の動機に結びつく過程とかが詳しくなく、バランスが悪い感じはしました。
内容★★★★
2010/12/18 (Sat) 10:26
講談社
2010年9月
風を、迷いを、闇夜を、鳥を。
著者はわずか5編の物語で、世界の全部を解放してしまった。
闇の中から一歩、また一歩と光射す方へ誘われる、「夜市」の著者の新たな到達点にして最高傑作。
この世に潜むものたちを、5つの物語で誘い出す――。
――私たちは私たちだけ? ――進むってどこに行くの? どこに行けばいいの? シンは少し考えてからいった。――<竜が最後に帰る場所>よ。
1.風を放つ
2.迷走のオルネラ
3.夜行の冬
4.鸚鵡幻想曲
5.ゴロンド
5編の短編を収録。
1番目と2番目のお話は、う~ん。でも、3番目からはよかったです。
「夜行の冬」のどこか惹かれてしまう怖さ。それは現状に満足していない自分がいるためなのでしょうか。
「鸚鵡幻想曲」のまったく予測が出来ない展開とその発想。
「ゴロンド」の壮大さ。
ちょっと追ってみたい作家さんです。
表紙と内容のギャップありすぎ。
内容★★★★