2009/12/05 (Sat) 12:36
2009
監督:君塚良一
出演者:佐藤浩市、志田未来、柳葉敏郎、石田ゆり子、佐々木蔵之介
上映時間:118分
「出てきました! 今、容疑者の少年が出てきました!」
ごく平凡な四人家族の船村家。ある日突然、その一家の未成年の長男が、小学生姉妹殺人事件の容疑者として逮捕される。東豊島署の刑事・勝浦(佐藤浩市)と三島(松田龍平)は突如、その容疑者家族の保護を命じられる。一体何から守るのか分からないまま、逮捕現場の船村家へ向かう勝浦と三島。二人はそこで、容疑者の家を取り囲む報道陣、野次馬たちを目の当たりにする。彼らの任務は、容疑者家族をマスコミの目、そして世間の目から守ることだった。
容疑者家族の保護マニュアルにのっとり、船村夫婦は離婚、改めて婚姻し夫が妻の戸籍に入り、家族は苗字を妻の旧姓に変えさせられる。娘の沙織(志田未来)は就学義務免除の手続きを取らされる。そして夫婦、娘の三人は別々に保護されることになる。15歳の沙織の保護は、彼女と同い年の娘を持つ勝浦が担当することになる。勝浦と沙織、二人の終わりの見えない逃避行が始まる―。ホテル、自分のアパート、友人・尾上令子(木村佳乃)のマンションと場所を変えて沙織をかくまう勝浦だったが、マスコミは居場所を嗅ぎつけ、どこまでも付きまとってくる。
そんな中、沙織は恋人からの電話で、自分の母が自殺したという衝撃的な事実を知る。「お母さん、警察の人と一緒にいたんでしょ! なのに何で! 警察の人何してたの!」と勝浦に食ってかかる沙織。勝浦は、自分の置かれた状況を理解できずに苦しむ沙織をただ見守ることしかできなかった。そして、令子のマンションまで取材しにきた新聞記者・梅本(佐々木蔵之介)に「ご遺族は犯人の家族にも罪を償って欲しいと思ってる。死んで償えと思ってる。」と責められるのだった。
マスコミから逃れるため、勝浦は沙織を連れて、東京を離れて伊豆のとある場所を目指すことにする。そこは、3年前ある事件に巻き込まれ幼い息子を失ってしまった夫婦・本庄圭介(柳葉敏郎)と久美子(石田ゆり子)が経営する海辺のペンションだった。実はその事件の捜査をしていたのが勝浦だった。上司・坂本(佐野史郎)の命令で動けなかったとはいえ本庄夫妻の息子を死なせてしまったことで、勝浦は心に深い傷を抱えていた。本庄夫妻への心苦しさはあったが、勝浦にはもうそのペンションしか逃げ場がなく、すがる思いで車を飛ばした。
伊豆へ向かう途中、新聞やテレビで三年前の勝浦の捜査ミスが取り上げられ、勝浦が殺人犯の妹を保護していることも公になる。なんとかたどり着いたペンションで、勝浦は圭介から「警察はうちの子を守ってくれなかったのに、犯人の家族は守るんですか……」と悲痛な思いをぶつけられる。さらに、匿名の悪意、ネット上の掲示板の書き込みによって、勝浦と沙織は知らないうちに社会にさらされていく……。
さらなる悲劇に襲われ、容赦なく傷つけられる沙織。
過去の事件の捜査ミスによる心の闇を抱える勝浦。
二人は、反発しながらも次第に傷ついた心と心を通わせていく……。
殺人犯の妹と彼女を必死に守る刑事。
二人を待っている<運命>とは――。
そして行き着く先で二人が見つける<希望>とは――。
考えさせらる映画でした。
難しいテーマですね。
身近で起きたことがないので考えたこともなかったです。
被害者側の気持ちも痛いほど伝わってくるし、加害者側の家族の苦しみも見るに耐えないです。
この映画の中のマスコミの行為は行き過ぎなのかもしれませんが、「犯罪を犯すと家族に被害が及ぶんだよ」という抑止力にもなるような気もするし…。
ネットは明らかに面白半分でやっているから、問題外ですが。
警察だけでなく市役所や教育委員会もすぐに動いて、離婚手続き、休学手続きなどを行うということも、私には驚きでした。
この映画の4ヶ月前の出来事を「被害者の保護」という視点から描いた「誰も守れない」というドラマがあるそうです。
残念ながらDVDも発売されていないし、また発売予定もないようです。
私は観なかったので、せめて再放送して欲しいです。
結局、無理に何かを規制できるはずもなく、すべては個々の判断に委ねられ、変わっていくとしたら、そういうふうでしか変えられないものなのかもしれません。
一番いいのは、笑われるかもしれませんが、犯罪がなくなることですね。
そうすれば、誰も苦しむことはないのに…。
そんな世の中になりそうもないですが、そう思わずにはいられなくさせられる、そんな映画でした。
内容★★★★★
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