2010/06/05 (Sat) 02:09
文春文庫
2010年2月
日本舞踊をやめ、中学から剣道を始めた西荻早苗。重心を下にした柔らかい動きでみるみる成長するが、楽しさを求め「勝敗」については固執しない性格。一方、三歳から剣道を始め、パワー、スピード、勝負勘のすべてに秀で、勝敗がすべての剣道エリートでしかも武蔵オタク(愛読書は『五輪書』と『武士道』)の磯山香織。深い意味はなく出た中学最後の区民大会個人戦で、香織はなぜか早苗に負けてしまう。そんな二人が高校で一緒になった。
敗れた悔しさを片時も忘れたことのない香織だったが、早苗がそのときの相手だとは気付かない。というのも、早苗の苗字が両親の離婚によって「甲本」から「西荻」に変わっていたため、胴着の垂れ幕の名前が違っていたのだ。部活で香織は先輩を次々と撃破。早苗は香織の無類の強さに驚き、香織は早苗の構えをみて自分を破った相手だと気付く。それ以降、香織は早苗は目の仇にして練習。香織の猛攻と練習態度に辟易した早苗は部活を辞めることを考える。関東大会団体戦を前に香織は早苗の剣道を「チャンバラダンス」と揶揄。口論になった二人だったが、その最中に香織が捻挫。片腕でも試合に出場したのだが……。
全く価値観の違う二人が、剣道を通し深く繋がっていく。一気読みの青春エンターテインメント。
これは傑作。
映画化にコミック化というのも頷けます。
対照的な二人を主人公に据え、人と人がぶつかり合い、影響されていく素晴らしさが見事に描かれていると思いました。
笑えるし、泣けるし、考えさせられるし、と欲張りな小説です。
文もキャラもイキイキしています。
人は一人で生きているわけではない、という当たり前のことを改めて素直に認識させてくれました。
生きていく上で大切なことがいっぱい盛り込まれた本ですね。
続編「武士道セブンティーン」「武士道エイティーン」も、とっても楽しみです。
内容★★★★★
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