2010/06/05 (Sat) 18:50
角川書店
2008年8月
結城中佐の発案で陸軍内に設立されたスパイ養成学校“D機関”。超難関試験を突破した一期生は、外国語、学問はもちろんのこと、爆薬や無電の扱い方、変装術、女の口説き方など多様な訓練を受け、長髪、背広姿で互いを偽名で呼び合った。「スパイとは“見えない存在”であること」、「殺人及び自死は最悪の選択肢」、これが、結城が訓練生に叩き込んだ戒律だった。軍隊組織の信条を真っ向から否定する“D機関”の存在は、当然、猛反発を招いた。だが、頭脳明晰、実行力でも群を抜く「魔王」ーー結城中佐は、魔術師の如き手さばきで諜報戦の成果を上げ、陸軍内の敵をも出し抜いてゆく。東京、横浜、上海、ロンドンで繰り広げられる最高にスタイリッシュなスパイ・ミステリー。
第62回 日本推理作家協会賞 長編及び連作短編集部門受賞
第30回吉川英治文学新人賞
2009年本屋大賞第3位
スパイがどれだけ過酷なのかということがよくわかります。
それか決してジェームズ・ボンドのようではなくて…。
5編の短編からなり、D機関と結城中佐はすべて共通しているものの、主人公も舞台もそれぞれ違います。
そんな尾を引かないところも、この作品のクールさとマッチしてるな、なんて思ったりもしました。
短編なのに、ストーリーは二転三転したりとよく考えてあり、楽しませてくれます。
ひとつひとつが上手くまとまっていて、感心しました。
戦時中のスパイでもこれだけ複雑なら、今のハイテクを駆使したスパイ活動って一体どんななんでしょうね。
続編の「ダブル・ジョーカー」も勿論読むつもりです。
内容★★★★
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