2010/08/12 (Thu) 21:00
文芸社
2010年6月
ある日、貧民街から子どもたちが消えた──。栄達のために、ストリートチルドレンへの凶行に走った黒宮。関係者すべての記憶は消され、事件は闇に葬られた。黒宮はMOC東京本部のトップに昇りつめ、さらに野望を加速させる。はたして、すべてを失った相馬は、真実を暴くことができるのか! そして権力の階段を昇る黒宮の真の目的と、背後にうごめく黒幕の正体は? 記憶争奪をめぐる頭脳戦の果てに、それぞれに待ち受ける運命とは!?
予定調和とはいえない終わり方は、少しだけ現実っぽくてよかったと思います。
しかし、重複というか無駄に再現シーンが多く、だらだらした感じですね。1冊に収まったと思うのですが。そのほうが、作品が締まった気がします。
あと、「ニホンブンレツ」や「リアル鬼ごっこ」でも思ったのですが、主人公と思われる人たちの、煮え切らないというか、行動力がないというか、状況に流されるだけ的な感じが、どうにもすっきりしません。
感情移入はできないなぁ。
内容★★
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2010/08/12 (Thu) 09:08
文芸社
2010年6月
21世紀末、日本の治安は悪化し凶悪犯罪が増加。特に急増するストリートチルドレンは各地を拠点に犯罪を繰り返し、社会問題化していた。事態を重く見た政府は「記憶削除法」を制定する。見たもの聞いたことすべての記憶が保存されるメモリーチップを全国民の頭に埋め、犯罪が起きた際には証拠とするばかりか、更生不可能と判断された犯罪者へ『記憶削除の刑』を執行するというものだった。 悪用された場合社会が大混乱に陥ることから、『記憶操作官』は国家試験をクリアーした国家公務員が務め、記憶操作機関MOC(Memory Operation Center)は巨大化、厳重に管理されることとなる。 ところが、制度が始まって半世紀以上が経ち、組織は腐敗し、不正が蔓延、所員は権力闘争に明け暮れていた。そんなMOC東京本部に勤める記憶操作官・相馬誠は、違法な記憶操作などを行い出世していく上司・黒宮を尻目に、「あるべき操作官」を目指して職務に励んでいた。ところがある日、ストリートチルドレン・リサのメモリーチップから、思わぬ記憶が見つかる。それを知った黒宮は野望の妨げになることを恐れて驚きの計画を企て、計画を事前に知った相馬はなんとか阻止しようと奔走するのだが……
はたして、相馬は真実を暴くことができるのか! そして権力の階段を昇る黒宮の真の目的と、背後にうごめく黒幕の正体は?
「消えた9時間」をめぐる隠蔽、逃走、復讐劇の果てに、感動のラストが待ち受ける!!
やはり、という感じでした。
期待せずに読みはじめたので、がっかりするのはフェアじゃないのかもしれません。
けれど、なぜこうもスリル感が欠如しているのでしょう?
それは文体にあるような…。
冗長すぎる描写というか、余分な場面が多すぎなのかな?
21世紀末の設定ということですが、メインの頭のメモリー以外は現在と変わらないのは悲しすぎます。もう少し設定を煮詰めてから書くべきでは?
短編ならば、それでもいいのかもしれませんが…。
ただ、読みやすくはあるので、本を読むのが苦手な人には、達成感は味わえるかもしれません。
内容★★
2010/08/04 (Wed) 20:45
文芸社
2010年5月
時は30世紀。ある王国で、王様が前代未聞の通達を発した。「自分以外の者が<佐藤>を名乗ることを許さない。王国にいる500万人の<佐藤>姓の人々を、“鬼ごっこ方式”で抹殺する」と……。かくして死のゲームの準備が整えられ、狂気に満ちた日々が始まった! 期間は7日間、夜11時から12時までの1時間を、主人公・佐藤翼は無事に逃げ切れるのか? そして、“死の鬼ごっこ”の途中で生き別れた妹を救うことはできるのか?──発売以来驚異的な売り上げを記録し続け、各種マスコミでも大きな話題を呼んだ傑作ホラーノベル!
2008年に大ヒットを記録した映画「リアル鬼ごっこ」に待望の続編が登場。2010年6月5日、いよいよ映画「リアル鬼ごっこ2」が全国ロードショーされることを記念して緊急リリース。ミリオンセラーを記録した都市型ホラーの金字塔『リアル鬼ごっこ』に、16ページのカラー口絵による映画「リアル鬼ごっこ2」名場面集や監督による見どころ紹介などを加えて限定発売!!
小説「リアル鬼ごっこ」に映画「リアル鬼ごっこ2」のカラー写真&監督インタビューを巻末に足しただけの内容です。
小説も少しは手直しされているようですが、読んでいて悲しい稚拙な文章に変わりはないです。
ごめんなさい、やっぱりこの作者、私にはあわないなぁ。
文体は言うまでもなく、この手のストーリーにこういう情けない主人公を持ってこられるとストレスがたまります。
「ニホンブンレツ」もそんなような感じだった気がします…。
運命に流され、ふさぎこんでいる主人公なんて、小説の中でまで見て炊くないです。
驚く展開が待っているわけでもなく、緊迫感もないし、設定もあまりに杜撰…。
褒める要素が見事に見当たらない本でした。
何故売れるのか、何故映画化されるのか、まったく理解できません。
内容★
2010/05/30 (Sun) 00:20
文芸社
2009年3月
近未来、日本はかねてより対立の続いていた東西がついに分裂。東経138度線に巨大な壁が建設され、一触即発の状態が続いていた。人はもちろん、物資、情報、すべての交流が禁止されてしまう。
進学のため、たまたま東京に来ていた広島出身の東条博文は、突然の壁の建設で家族、そして将来を約束した恋人・恵実と生き別れになってしまう。小学校の教諭をしながらも、なんとかして西に戻る手はないか、その機会を待っていた。
ところが、ようやく潜入した西で待っていたのは、独裁者が君臨し、貧富の格差が拡大、住む場所まで限定された階級社会だった。母子家庭で貧しかった恵実はどこにいるのか? 彼女を捜し出し幸せをつかむため、博文の孤独な潜入劇がはじまる。窮地に立たされた2人に、予想外のラストが待ち受ける!!
映画「リアル鬼ごっこ2」も公開間近ということで、初めてこの山田悠介さんの本を手に取ってみました。
とにかく、この著者の本は、装帳が目立ってたり、プロモーションが大々的だったりと、気になる半面、胡散臭さも感じてはいたのですが…。
この本を読む限りでは、なかなか厳しいものがありますね。
日本が二つになるのはいいとしても、もう少し設定を煮詰めないとまずいのでは。あまりにもいい加減過ぎませんか?
しかも、2027年って…。今とほとんど変わらないなんて思えないのですが…。普通の携帯にワンセグ、普通のテレビにガソリン車。う~ん、挙げればきりがないですが…。
どうせ突込みどころ満載なら、もっと思いきった内容にしてくれれば、まだ楽しめたのに。
タイトル負けした、個人の恋愛が主体となった、こじんまりとしたストーリー展開だし。
心理描写が薄っぺらで感情移入しにくいのにもまして、この主人公、人ばかり頼って何にもしないし、読んでいてストレスが溜まる一方でした。
のわりには、230キロのスピードでびゅんびゅん車を追い抜く凄腕レーサーみたくなっているので、さらに興醒めでした。
「捕まれば、彼女が死刑になることは間違いない」とか「今ごろ、拷問でひどい目にあっているかと思うと、すまない気持ちでいっぱいになる」って思うくらいなら、一緒に死ぬ気概は持てなかったのでしょうか。よくわかりません。
ストーリーにここまで意外性がないのも珍しいし。
って、文句ばっかり書いていますね、私。
こんなんで、よく最後まで読んだものだと、今さら思います。
多分、最後までどこか期待していたのでしょうね。
でも、1冊だけで判断してはいけないとは思うので、いつか違うタイトルも読んでみようとは思っています。
内容★