2010/05/21 (Fri) 02:42
幻冬舎
2003年2月
30年前、中学教師だった松子はある事件で馘首され故郷から失踪する。そこから彼女の転落し続ける人生が始まった……。一人の女性の生涯を通し愛と人生の光と影を炙り出す感動ミステリ巨編。
映画を観てからずっと気になっていましたが、ようやく読みました。
映画もうまくまとまっていてよかったと思いますが、やはり時間の制約から削られている部分(変更点も)も結構あり、心理描写も含め原作を読んだ価値がありました。
風俗や美容師の内容もかなり詳しく書き込まれています。
ちょっとしたタイミング、選択で人の運命って大きく変わってしまうのだなぁ、としみじみ思いました。
それと、今現時点でのその人を見ただけでは人は判断できないってこと。誰にでも過去はあり、それを知りもしないで人を判断するのは行けない気がしてきました。
特に新聞やテレビなどの事件の報道を見ても、最近は軽率な感想は持たないように心がけています。
「女が男を殺すからには、それなりの事情があるものなんだよ。それを調べもしないで、一方的に松子を悪者にするってのは、感心しないね」
「きっと俺は、目の前にいる明日香が、明日香のすべてだと思い込んでいたんだろうな」
「ここにいる明日香は、生まれてから今までの、いろいろな人との関わりや経験の積み重ねの上に、存在しているんだなって…」
松子は報われない一生を終えてしまいますが、気になるのは笙と明日香のその後。
その2人の4年後が描かれた「ゴールデンタイム」もそのうち読みたいと思います。
内容★★★★
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