2011/02/08 (Tue) 10:00
文藝春秋
2010年11月
「美のカリスマ」と呼ばれ、世の女性に羨望される女優の條子。堅い出版社に勤めながら、ある日突然不倫の恋に落ちる多岐江。故郷を離れ、東京でキャバクラ嬢としてのし上がろうとしている莉子。亡くなった母親の面影を嫌悪し、資産家の父親も恨む涼香。4人の共通点は同じ女医から美容外科手術を受けていること。4人の美への欲望は次第にエスカレートしてゆき、ついには禁断の領域へ――。「美」と「恐怖」を見事に融合させた傑作長篇小説。
女性の飽くなき欲望が見事に描かれていると思いました。
美には絶対の基準はなく、また老いという負荷もかかってくるため、美を求める気持ちに際限がなくなるのは自明の理ですね。
そしてそれは、個人的優越感だけでなく、美しい者が有利というこの社会のあり方、手軽に出来る美容整形などいろいろな要因があり、考えさせられてしまいます。
一度踏み出したら泥沼のように抜け出せなくなるのは、麻薬とか他の犯罪にも似ているような気がします。
「美」は男性やペット、他にも想像がつかないようなものにまで波及したりして…。
価値観を外見重視でなくしていかないと、そのうちとんでもないことになったりして。
でもその価値観を変えるのは容易ではなさそうです…。
内容★★★★
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