2010/06/03 (Thu) 01:14
徳間書店
2009年5月
神去村の人たちはおっとりしている。彼らの口癖は「なあなあ」で、「ゆっくり行こう」「まあ落ち着け」など、いろんな意味に使われているが、語尾にも「な」がつくので、のんびりした感じになる。神去村には林業従事者が多く、百年単位んの作業をしているので、あくせくしてもしようがないと思っているみたいだ。俺は平野勇気。高校卒業式の後、俺の行き先は、担任の先生と母親に決められていた。この神去村で、林業の研修生として働くことになっていたのだ。ローカル線の終点の駅に出迎えに来てくれたのは、髪を金髪に染めたヨキというガタイのいい男だった。チェーンソーの使い方など教えられたところで、俺は「綠の雇用」というシステムの応募者にされたのだと知った。しかし、「やっと神去村に若者が来た」と涙ぐんでいるおじいさんを前に帰るとは言えなかった。俺の山の生活が始まった。……。
2010年本屋大賞第4位。
都会では味わえない、人と人との触れ合いの大事さを感じさせてくれるとともに、林業というほとんど知らなかった世界を教えてくれた本でした。
肉体的に相当キツイだろうし、店もなく不便で、ともすれば孤立した閉鎖空間にいるというのに、何故か主人公がうらやましくなりました。
若い時にこういう体験をするということは大事なことのような気がします。まさに自然と共存といった感じで。
村単位の閉鎖空間といった印象を最初は持っていたのですが、考えてみれば、個人の時間が多い今の私の方がよほど孤立している…。
人付き合いも得意ではないし、億劫になっているし。
この主人公のように私も若いときに、風景を見て感動したり、仕事で感動できていたら、今の生き方も違っていたような気がします。
内容★★★★★
PR
Comment