2010/11/22 (Mon) 11:20
小学館
2010年9月
一人娘・真由が誘拐されて一か月、安否のわからないまま、白石千賀は役場の仕事に復帰、溜池工事の請負業者決定を控えていた。そんな千賀にかかってくる「おたくの真由ちゃんが死体で発見されました」といういたずら電話の主とは・・・・(第一話「談合」)。真由ちゃん誘拐事件から2か月後、同じ町内に住む24歳の会社員・鈴木航介が死体で発見された。同僚の久保和弘はその1週間前、経理部員である航介から不正を指摘されていた。そして、航介の携帯にいまも届くメールの中に衝撃的な一文を発見する(第二話「追悼」)。渡亜矢子は真由ちゃん事件の犯人を追っている刑事。無事に戻ってきた幼児から証言を引き出すのは容易ではなかったが、工夫を重ねて聞き出した犯人像に近い人物を探し当て、ついに逮捕にこぎ着けるが・・・・(第三話「波紋」)。そして最終話、すべてのエピソードが1つの線になり、事件の背景にさまざまな「救い」があったことを知る(「再現」)。一つの事件が起こした波紋は「別の新しい事件を引き起こし、その新しい事件がまた波を立てる。波は当事者のみならず、周りの人々までをも飲み込み、翻弄していく」──
1話ごとに視点が変わり、徐々に真実が明らかになっていく構成となっており、最後まで楽しむことが出来ました。
脇役に過ぎない笹部教授ですが、「誰かが誰かを傷つける――そんな事件の裏側には、ときに誰かを守ろうとする物語が潜んでいる」とかタイトルの由来とか、結構重要な台詞を吐くのは何故かこの人。
面白い役割ですが、多分他の小説にも登場しそうな予感。
内容★★★★
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