2011/02/17 (Thu) 09:15
新潮社
2010年10月
身に覚えのない殺人の罪。それが江木雅史から仕事も家族も日常も奪い去った。理不尽な運命、灰色に塗り込められた人生。彼は復讐を決意した。ほかに道はなかった。強引に自白を迫る刑事、怜悧冷徹な検事、不誠実だった弁護士。七年前、冤罪を作り出した者たちが次々に殺されていく。ひとりの刑事が被害者たちを繋ぐ、そのリンクを見出した。しかし江木の行方は杳として知れなかった…。彼が求めたものは何か。次に狙われるのは誰か。あまりに悲しく予想外の結末が待つ長編ミステリー。
恐ろしい。
一度疑われたらどんどん泥沼に嵌っていってなすすべもない様子が克明に描かれていて、説得力もありました。
そしてこれは、いつ自分に起こってもおかしくないことだと思うのです。
では、何処から変えていけばいいのかというと、それはそれでとても難しい問題だと思います。
やはり、人が人を裁くのは、無理なのでしょうか。
そして例え無実を証明できたとしても、多分もとの生活に戻ることは難しくなってしまう社会的構図…。
もうひとつ考えさせられたのが、復讐について。
自分にそんなことが降りかかったとして、まだ守るものがあるなら踏みとどまれるかもしれないけれど、そうでない場合、理屈ではどうにもならないと思います。
肯定するわけでも、救われるとも思わないけれど、それでも…。
内容★★★★
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