2010/06/01 (Tue) 20:59
文藝春秋
2005年10月
アジアの路上で物乞う人々と触れ合い、語り合ってみたい―。
そんな思いを胸に、著者の物乞いや障害者を訪ねる旅が始まる。
カンボジアの地雷障害者、ベトナムで戦時中から障害児の誕生に携わってきた産婆、タイの首都バンコクを徘徊する盲目の歌手、ネパールの麻薬売人らと共に暮らし、インドでは幼児を誘拐して物乞いをさせるマフィア組織に潜入する。
アジアの最深部に分け入った衝撃のノンフィクション。アジアの暗部を描きつつも、人の生きる姿そのものを教えてくれる、清々しい読後感に包まれる稀有の書。
文章はわかりやすいですが、あまりにも内容がヘビーなため、読むのにエネルギーが要ります。
「絶対貧困」では錆びや虫の浮いたお酒を飲んだそうですが、こちらでは麻薬を吸ったり、マフィアと接触をもったりもしています。
この体当たりの精神、石田光太さん、すごいですね。
とにかく、このような現実が世界にたくさんあるということが、やるせなく、憂鬱になります。
目を閉じ、耳を塞ぐことは簡単だけれど、目を背けないからといって何かできるわけでもないのが辛いです。何かできるとかそういう言葉を使うことがすでに上目線ですね。
お金を渡しても、娼婦やお酒に使ってしまう人、仲間から袋叩きに合ってしまう人…。
この社会の構造を根本から変えない限り、同情で個人が何か小さなことをしても何も変わらないのでしょう。
本当に難しい問題です。
私なんかに答えなんかが出るとも思えませんが、ずっと考え続けてはいきたいと思います。
また、彼らと比べ恵まれた環境に生まれたことを当たり前と思わず、贅沢などしないで生きて行きたいと思います。
華やかな面ばかりに目が行きがちですが、観光だけではわからない現実の世界を知るためにも読んでおきたい本です。
内容★★★★★
PR
Comment