2010/05/10 (Mon) 22:27
双葉社
2008年8月
「愛美は事故で死んだのではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」。中学の終業式のホームルームで、女性教師は生徒たちに愛娘の死の真相を話し始める。そして、事件に関わった人々によってその後の物語が語られていく。
「衝撃」という言葉がピッタリの本ですね。
第1章を読み終わった時点で、すごい衝撃を受けたのですが、その後の展開も二転三転と変わってゆき、まったく目が離せませんでした。
これで、第1章の「聖職者」を書いた時点で続きを考えていなかったというのですから、驚きです。計算されたような構成にさえ感じてしまったほどです。
本屋大賞ってのも頷けますよね。
ラストまで一気にひっぱっていく本でした。
人と人との考え方のずれによりおこる摩擦。やはりお互いに理解しあえるというのは幻想に過ぎないのでしょうか…。
「すべてを水に流せるという復讐などありえないのだ、と気付きました」
内容★★★★★
PR
2010/04/17 (Sat) 10:35
東京創元社 ミステリ・フロンティア
2009年6月
取り柄と言えるのはきれいな空気、夕方六時には「グリーンスリーブス」のメロディ。そんな穏やかな田舎町で起きた、惨たらしい美少女殺害事件。犯人と目される男の顔をどうしても思い出せない4人の少女たちに投げつけられた激情の言葉が、彼女たちの運命を大きく狂わせることになる──これで約束は、果たせたことになるのでしょうか?
「告白」で一躍有名になった湊かなえさんの本。
私は未だ「告白」読んでないんですよね。
この本は、章ごとに事件に関わった人たちが、手紙やスピーチ、その場での会話などで語っていく形で事件の全容が明らかになるという構成になっています。
調べてみると、「告白」も似たようなスタイルらしいです。
人は、その言葉がどれだけ他人に影響を及ぼすかなんて考えずに話してしまうものです。
その個人個人のとらえ方、対処の仕方など、うまく描かれていると思いました。
ただ、負の要素が強すぎるのか、感情移入しにくいというのか、あまりひきこまれる感じではなかったです。
よくよく考えてみると、みんな、自分が救われたかっただけなのか、と気付き、この本ってあなどれないかも、と思い始めました。
内容★★★★