2011/08/13 (Sat) 14:25
徳間書店
2011年6月
大学で研究する和弥は、恩師の娘を嫁に貰った。ある日、帰宅すると妻が猫になっていた。実は和弥は、古き時代から妖(あやかし)に立ち向かう蘆野原(あしのはら)一族の若き長。幼馴染みで悪友の和泉と、猫になった娘とともに、文明開化の世に出没する数々の災厄を防いでいく。陰陽師や祓師のような力を持つ主人公と悪友との軽妙なやりとり、猫になったときの記憶がない美しい妻との叙情的な日常を、丹念な筆致で描く幻想小説。
雰囲気のとてもよい本でした。
詳しい説明がなく不明な部分が多いのも、よけいに幻想的に感じられてよかったです。
明瞭じゃないものはあまり好きではないはずなのに、なんだろう、この本。
束の間の夢を見ていたような、不思議な感覚。
登場人物がみんな優しいのも気に入っています。
「三人の暮らしがやがてどんな結末を迎えるのかは判らないが、為るように為るのだろう。たぶん、世界とはそのようなものだ。」
私もいつか、和弥のように思うことが出来るだろうか。
内容★★★★★
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