2010/10/12 (Tue) 10:16
幻冬舎
2010年7月
弟が死んだその日から、私はものが食べられなくなった。勤めている花屋の店主の井上さんは、いつも休憩時間にお菓子を出してくれる。決して、私が手をつけないと知っているのに。大好きな弟が自らの命を絶った夜、私は不倫相手からの電話を待っていた(「春待ち」)。忘れられない4つの記憶を巡る連作群像劇。
4つの短編から成る、各主人公たちがなんらかの形で関連している形式。
様々な立場の女性の様子が、肌理細やかな心理描写と共に描かれています。
言い表せない苛立ちとかが上手く表現されていたりとか、女性の心理がとてもリアルでした。
シングルマザー亜季と、亜季の母親と亜季の娘の3人で暮らす様子が描かれた「美しい雨」が、中でも一番胸に来ました。
母親になかなか言えない感謝の言葉とか、つい娘にあたってしまう様子とか。
内容★★★★
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