2010/01/13 (Wed) 11:14
2006
監督:篠原哲雄
出演者:堤真一、岡本綾、大沢たかお、常盤貴子
上映時間:121分
製作国:日本
重いスーツケースを抱え、いつものように地下鉄の駅に降り立つ長谷部真次(堤真一)。小さな会社の営業マンとして一日歩き回った帰り道だ。地下道を歩きながら、携帯電話のメッセージを確認すると、弟から父親が倒れたというしらせが入っていた。入院がニュースになるほどの巨大な企業を一代で立ち上げた父とは、高校を卒業してから、もう長らく会っていない。真次が、初めて父に強い反発を覚えたのは、まだ中学生だった頃の、まさに今日だった。横暴で威圧的な父とケンカした兄が、家を飛び出し、還らぬ人となったのだ。
過去に想いを馳せながら、地下鉄のホームに続く地下道を歩き始めた真次は、前方を横切る男があの日の兄に見えて、思わずあとを追いかける。
階段を上ると、なんとそこはオリンピック開催に沸き立つ、昭和 39 年の東京。しかも兄を亡くした“運命の日”だった…。突然の出来事が信じられないまま、心は兄を探せと叫んでいた。ようやく兄を見つけだし、その“出来事”が未然に防げたように思えて安堵する真次。
しかし、その後無事現在に帰還した真次は、運命を変えられなかった事を知る。会社の同僚の誰もが彼の不思議な話に耳を傾けない中、恋人の軽部みち子(岡本綾)だけが、驚きながらも信じてくれる。みち子は、家庭を持つ真次に何も望んではいないように思われた。しかし、愛を重ねるにつれて、 2 人には一緒に過ごす時間が唯一安らげるひと時になっていた。
奇妙なタイムスリップは一度きりではなかった。真次は、昭和 21 年に誘われ、混沌とした戦後の闇市で何とか夢を叶えようと懸命に生きる若き日の父、小沼佐吉(大沢たかお)と彼の恋人、お時(常盤貴子)に出逢うのだった。今度の時を超える旅は、なぜかみち子も一緒だった。しかし、真次とみち子が過去に呼ばれたのは、決して偶然ではなかった。2人は、この頃から美しくも儚い運命で結ばれていたのだ…。
この映画のように、過去に戻り、昔の若かりし両親に会ってみたいと思う人は結構いるのではないでしょうか。私もそうです。
観る前は「異人たちとの夏」みたいなのを想像していたのですが、全然違いました。あちらはあちらで大好きですが。
説明過多というか、演出過剰というか、例えば袋の中身をわざと画面に見せるみたいなところがやや目に付きましたが(わからないよりはましですが)、時間の制約もあることでしょうし仕方ないのかもしれません。
総合的には哀愁の漂うよい作品だと思いました。
厳格で冷酷だと思われる真次の父親が何故そんな風になってしまったのか、過去に戻ることで、父親を嫌っていた真次にも理解できるようになるというのが大筋です。
確かに人にはそれぞれいろいろな事情があり、思いがあるわけで、お互いを深く分かり合うためには、もっと会話が必要だったのかもしれません。
そういう私も、考えてみれば両親のことはなにも知らないに等しいです。今度、是非いろいろ話を聞いてみようと思います。
ラスト近くのみち子の行動は、最初衝撃が先行して、「なぜ」ってことしか思いませんでしたが、考えてみると、あれは真次のためではなく、自分がこのままやっていけないからということからでた行動なのかな、なんて思ったりもしました。
「愛する人の幸せのため」ということでの行動ということになっていますが、そうではない気がします。だって真次は偽りの生活を送っていくしかなくなるのだから…。
いろんな点で深く考えさせられる映画でした。
原作は、浅田次郎さんの同名小説ですが、映画では大幅にカットされているそうなので、これも是非読んで、もっと深く考えてみたいです。
内容★★★★★
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