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2010/06/23 (Wed) 16:26

文藝春秋
2008年7月

剣道オタクの磯山香織と日舞から転身した甲本(西荻)早苗も、高校2年生。早苗は香織への思いを断ち切り、父親の転勤について福岡へ。剣道の強豪、福岡南高校に転入したが、強豪ならではの大人数の練習方法に仰天する。その部で最も強く、人柄もよい黒岩怜那。だが早苗は、ルールの範囲内であれば勝つためあらゆる方法を行使する、彼女のスポーツ至上主義に違和感を覚え、あらゆる面で対立。孤立していく。一方の香織は、早苗のいない東松学園に寂しさを覚えながらも、中学からあがってきた後輩、田原美緒の指導に精を出す日々。帰宅途中で、ならずもの高校生に絡まれていた中学時代の同級生、清水を助けたことから、清水になんだかんだとつきまとわれる。
夏のインターハイで再会を果たす早苗と香織。そこで早苗は、黒岩が全中の決勝で香織を破って優勝した相手だったと知る。香織の父親・憲介の職務中の怪我、清水の周囲に漂う不穏な気配……。剣道の魂とは何か。剣道とスポーツとの違いは何か。剣道を暴力に対抗する手段として使えるのか。別々の場所にいながらも、二人は同じように武士道の本質へ迫っていく。前作を凌ぐ、青春エンタメ街道まっしぐらの、圧倒的な面白さ。






「武士道シックスティーン」の続き。
クオリティーは前作とまったく同じで、期待通りの作品に大満足でした。
語りは、香織も早苗も「シックスティーン」のときと同じで(当たり前か)、時々吹き出すほど笑わせてくれますが、中身は少しずつ成長していっているのがわかり、なんとも微笑ましい気持ちです。
今回は特に、早苗の成長ぶりが顕著でしょうか。
「あの人の、磯山さんの剣道には、少なくとも、魂があったわ。乱暴だし、滅茶苦茶な人だったけど、それでも…あの人の剣道には、間違いなく、武士道があったわ。あなたには…その、どっちもない。ただ、勝ちたいだけじゃない。それじゃ、単なる欲じゃない。ほんとは、勝つ意味なんてないんじゃない。あなたのやってるのは、剣道っていう名前の、ただの、ゲームじゃない。そんな剣道…私、大ッ嫌い」

読んでいて気分のいい本です。
後半には、香織・早苗共にそれぞれ、試合以外の対決シーンがあり、盛り上がりもなかなかのものです。
「武士道エイティーン」も面白いに違いないです。

内容★★★★★





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