2010/06/24 (Thu) 20:00
文藝春秋
2009年9月
町村合併でできた人口12万人のゆめの市。古くからある商店街はさびれ、国道沿いの「ドリームタウン」が唯一の盛り場だ。この街で暮らす5人――社会福祉事務所で生活保護支給業務に就く相原友則、東京生活を夢見る女子高生の久保史恵、詐欺まがいの商品を売りつけるセールスマンの加藤裕也、スーパーの保安員をくびになり、新興宗教に救いを求める堀部妙子、県議会に打って出る腹積もりの市議会議員・山本順一――が鬱屈を抱えたまま日々を送り、やがて思いがけない事態に陥っていく。奥田ファン待望、『最悪』『邪魔』以来となる渾身の群像劇。
550ページもあり、ちょっと怯みましたが、読み始めると止まらなかったです。
5人の主人公のエピソードが順繰りで進んでいくのですが、途中拉致される人もいたりして、若干順番が違ったりもしました。
生活保護、公務員の怠慢、援助交際、引きこもり、訪問販売、新興宗教、などなどこれでもかというくらいの現代社会の問題点が浮き彫りにされ、勉強になった部分もありますが、憂鬱にもなりました。
読んでいるうちは、愚かだなぁなんて思ったりもしましたが、これが人間なんだと、作者の温かい目も感じたような気もしたのですが、終わり方はそうでもなく、ちょっと裏切られたような…。
かなり面白かったんだけど、最後だけ丸投げ感があり、ちょっと残念でした。
内容★★★★
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