2011/08/05 (Fri) 21:26
2010/11/16 (Tue) 09:01
新潮社
2010年9月
唇を重ねると、千の言葉が渦巻いた。そこに嘘はなかった。名手にしか描けない恋と愛、そして人生。
そのとき、感じた。一糸まとわぬ男を、彼の秘めていたものを。決して若くはなかった。この先のことなど、なにもわからず、なにひとつ決まっていなかった。でも、どんな交歓より、つながり合え、どんな未来より、身をまかせられた。甘く、とろけるばかりでない深みと味わい。あられもない、男と女の交わりと営みを描く九つの恋愛短篇。
短編ながら、見事に様々な人々の人生を見せてくれます。
それも、傍観者としてではなく、それぞれの人生を追体験するかのように。
決して楽しいだけのお話ではありません。
それでも人は、幾つになっても悩み、彷徨い、誰かを求め続けるものなんですね…。
内容★★★★
2010/06/29 (Tue) 00:16
文藝春秋
2010年4月
「異父兄がプラハに住んでいる」。母の奈緒子が打ち明けた、家族の秘密。母を亡くした28歳の榛名は一人でプラハに旅立った。正体を隠して、兄・聡をガイドに雇った榛名。榛名、奈緒子、そして聡といくつもに視点を変えて描かれる家族の歴史。二人の人生には哀しくも美しいドラマが隠されていた。
読んでいるとプラハに行ってみたいなと思わせてくれます。
美しい風景は心に浮かびますが、それゆえか、登場人物たちの印象は薄く感じました。
あまり心情に触れられていないというか、感情移入しにくいというか。
7章あり、それぞれ主人公が変わり、違う角度から物語を見られるのはよいと思うのですが、出来事中心で、私にはちょっと人物の描き方が物足りないかな、という印象でした。
内容★★★