2011/02/14 (Mon) 10:28
2011/02/12 (Sat) 11:29
中央公論新社
2010年12月
中三の春、少女は切ない初恋と未来への夢と出会った。それは愛と破壊の世界への入り口だった。恋愛小説の枠を越えた恋愛小説の最高傑作。デビュー10周年を飾る書き下ろし作品。
展開が早いこともあって、最近の少女マンガを読んでいるような印象でした。内容も重いし。
気持ちをうまく伝えられず、また確かめることも出来ず、すれ違いや誘惑、タイミング、友達関係…。
いろいろな要素が複雑に絡み合って、重なり合って、自分でも思ってもいない方向に動いてしまうその物語の展開はリアルに感じました。
捨てる、置き去りにする、突然舞い込む、復活する、様々な人間関係。
人は、一人で生きているようで、まったくそうではないんだなぁ、なんてしみじみ思ったり。
人と関わりあうことで、その人の本質を徐々に知っていく…。自分が今までに関わりあった人の数を考えてみると、なんと寂しいことかと思います。
内容★★★★
2010/07/23 (Fri) 01:27
河出書房新社
2010年5月
<あなた>と<私>・・・名前すら必要としない二人の、密室のような恋。現役高校生でデビュー、「ナラタージュ」で大ヒットを遂げた島本理生がついに初めての本格的な恋愛小説に挑む!
『あられもない祈り』に寄せて
『あられもない祈り』は、「私」と「あなた」の物語です。
名前すら必要としない二人の、密室のような恋愛を通して、幼い頃からずっと自分を大事にできなかった主人公が、生きるための欲望を得るまでを書きたいと思いました。
今回、初めて結婚している男性との恋愛を真っすぐに書きました。
社会的に肯定されないことを書くのは、やはり難しかったです。
それでも恋してしまう気持ちや、時として、ずるさと切実な愛情が同居してしまうのも人間だということを、擁護するのではなく、できるだけ赤裸々に、書くことができたらと思いました。
書いている最中、体の内側から言葉が引きずりだされるような、どろっとした熱い感覚がまとわりついていました。
読んで下さった方に、その熱が伝われば幸いです。 島本 理生
ストーリー的にはどうってことないですが、その場その場で感じる主人公の心理描写など、何か生々しいくらいリアルで、それでありながら詩的にも感じてしまう、不思議な体験でした。
島本理生さんの本、初めて読みましたが、言葉とか、小物とか、素晴らしいセンスをお持ちのようです。
思った通りには、理想通りには動かない人の心、自分の心…。
本当に、人間って…。
内容★★★★