2011/05/17 (Tue) 22:11
東京創元社 ミステリ・フロンティア
2011年2月
代議士夫人の影が盗まれた!?にわかには信じがたい事件の調査を義母より依頼され、しぶしぶ乗り出すことになった高広。芝居好きが高じて邸内に個人劇場まで建ててしまうほどの好事家の屋敷で、その事件は起きていた。ありえない事件、ワヤンと呼ばれる幻惑的な影絵芝居、そして怪盗ロータスの気配…。なぜ、どうやって影は消されたのか―(表題作)。心優しき雑誌記者と美貌の天才絵師。ふたりの青年の日常を描いた掌編二編を含め、明治の世に生きる人々の姿を人情味豊かに描いた五編収録の作品集。好評“帝都探偵絵図”シリーズ第三弾。
今回は1編1編のお話の長さがかなり違っていたりと、またもや趣向を凝らしてあります。
パターン化していないのが、このシリーズのよさのひとつですね。
一番長い最後のお話では、ホームズ、ワトソン、ルパンの三者会談の場面があるのですが、あまりにも本家とは違うそのキャラに思わず笑っちゃいました。
一番印象に残っているのは第3話目かな。
「好きだという素直な気持ちのままに、好きなもののそばにいられること、ただ優しく守ることができるということ――それは奇跡なのだ。それは目も眩むほど贅沢なことなのだ。」
いつも忘れずにいたい言葉です。
内容★★★★
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2011/05/16 (Mon) 20:42
東京創元社 ミステリ・フロンティア
2009年12月
ある日萬朝報に載った『記憶に自信ある者求む』という求人広告。昔から見たものを瞬時に覚えてしまう力に長けた博一は、義父の勧めもあってその募集に応じ、見事採用となった。高い日給を受け取りながら、大学教授から記憶力の訓練を受けていた博一だが、あるときを境に急に教授と連絡が取れなくなり不安を覚える。そこで友人である高広に相談を持ちかけたところ、『赤髪連盟』に酷似したこの出来事に、礼が興味を示し―(表題作)。心優しき雑誌記者と美貌の天才絵師。ふたりの青年の出会いをはじめ、明治の世に生きる若者の姿を、人情味豊かに描いた四編を収録した短編集。好評“帝都探偵絵図”シリーズ第二弾。
2作目ということで、高広、礼、海坊主にも愛着がわいてきて、さらに楽しめるかなと思ったのは、意外なことに第1話のみでした。
残りは、「高広の父・基弘」編、第一作目の第一話の被害者?「恵」編、礼と出会う前の「高広」編といった感じで、趣向を凝らしてあります。
高広と礼の出会いも描かれていますが、おまけって感じでした。
何か物悲しいのに、心が温かくなるこのシリーズ。
読み続けるつもりです。
内容★★★★
2011/05/13 (Fri) 21:27
東京創元社 ミステリ・フロンティア
2008年8月
「しずくは観覧車に乗りたい」富豪の夫人に売られてゆくことが決まり、最後の願いを口にした見世物小屋の人魚は、観覧車の客車から泡となって消えた。水神の怒りに触れて浅草は水中に沈んだのか。いや、地上という水底から人魚がその身を縛るもののない空へと還っていったのか――(表題作)。
心優しき雑誌記者と超絶美形の天才絵師、ふたりの青年が贈る帝都探偵物語。明治の世に生きるふたりの青年の交流をあたたかに描いた、新鋭の人情味あふれるデビュー作品集。
明治の雰囲気がいい感じでした。
推理物というより人情物といった感じでしょうか。
真珠のお話と人魚のお話がよかったです。
内容★★★★