2011/07/12 (Tue) 20:40
新潮社
2011年5月
「離さない。絶対に離さない。もう二度と、行かせたりしない」ここから人の世が尽き、山が始まる。そんな境界の家に暮らす老夫婦の元へ、一人の娘が辿り着いた。山に消えた少年を追っていると言う。しかし山はそう簡単には、人を受け入れない。人でなくていいのなら、越えてしまえ―。狂おしいほどの想いにとらわれ、呼ばれるように山へ入った人々の赦しと救いを描く慟哭の物語。
とても幻想的な物語でした。
舞台設定とかもそうなのですが、言葉のリズムも流れるようで、世界に入りやすいです。
人は誰でも何らかの罪を背負っているもの。どう償っていくかが、人の生き方を決めるのかもしれませんね。
どちらのカップルも、一人じゃない、最愛の人と共にあるというのがうらやましくもあります。
内容★★★★
PR
2011/06/04 (Sat) 10:12
徳間書店
2011年3月
夢見がちで、「フシギちゃん」と呼ばれている歩美の友人は智香だけだった。事故で急逝した智香に一目会いたいと願う歩美。かつて智香の祖母が語った、この世のあらゆるものを売り買いするという幻の商人”スーサ”に依頼し、智香にあって話したいと強く願う。 深夜スーサは現れた。漆黒の髪と銀色に右目を持ち、時空を超えてあらゆる世界を行き来する商人。スーサは歩美の長い黒髪と交換に取引を承諾し、歩美の冒険が始まった。
2話収録とは思いませんでした。
スーサの設定もいいと思うし、ストレートで健全なお話も、素直で好感が持てました。
でも、ちょっとあっさり目な気もします。
続編が出て、スーサの詳細が徐々に明らかになっていくと踏んでいるのですが、どうでしょう。
内容★★★
2010/10/05 (Tue) 21:58
文藝春秋
2010年5月
少年少女の凜々(りり)しい一瞬を切り取る名手による待望の時代青春小説が登場。山河豊かな小舞(おまい)藩、父代わりの兄を何者かに殺された新里林弥は友らに支えられ剣の稽古に励む日々を送るが、江戸から来た家老の息子・樫井透馬との出会いから運命が動きだす。やがて藩の政争と陰謀が少年たちをも巻き込み……。
最近、百田尚樹さんの「影法師」を読んだばかりなので、どうしても比べてしまいます。
そういうわけで、友情度でも、身分の違いによる壁の苦しさなどでもパワー不足な感じがしてしまいます。
決してつまらないわけではないのですが…。
兄を通しての、林弥と透馬の友情&ライバル関係の位置付けはなかなかよいと思いました。
内容★★★