2011/06/20 (Mon) 20:10
2010/08/10 (Tue) 17:09
角川文庫
2008年3月
「大学三回生の春までの二年間、実益のあることなど何一つしていないことを断言しておこう」
“薔薇色のキャンパスライフ”を夢見る、誇り高き三回生の「私」。しかし現実はほど遠く、実り少ない二年間が過ぎようとしていた。悪友の小津には振り回され、謎の自由人・樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとは、なかなかお近づきになれない。
いっそのこと、ぴかぴかの一回生に戻って大学生活をやり直したい!
もし、あの運命の時計台前で、映画サークル「みそぎ」に入らず、ほかの道を選んでいれば……。
もし、あの運命の時計台前で、奇想天外な弟子募集に応じず、ほかの道を選んでいれば……。
もし、あの運命の時計台前で、ソフトボールサークル「ほんわか」に入らず、ほかの道を選んでいれば……。
もし、あの運命の時計台前で、秘密機関〈福猫飯店〉へ入らず、ほかの道を選んでいれば……。
迷い込んだ4つの並行世界で繰り広げられる、不毛と愚行の青春奇譚。
パラレル・ワールドを題材にしたした小説。
その発想自体はありふれていると思いますが、独特のユーモラスな文体が面白く、惹きつけられます。
京都の雰囲気がすごく出ていて、無性に行きたくなっちゃいます。
携帯などの現在の小道具が出てこない(もしくは目立たない)ので、どことなく昭和の香りも感じてしまいました。
アニメ化で話題になっているようですが、私は見ていないので、その違いは語れません。
「ペンギン・ハイウェイ」とは全然雰囲気が違いますが、どうやらこちらが森見登美彦さんのカラーのようですね。
和風ファンタジーといった感じでしょうか。
内容★★★★
2010/08/03 (Tue) 14:39
角川書店
2010年5月
ぼくは小学校4年生で、郊外の住宅地に住んでいる。偉い人になるために努力を欠かさず、勉強もするし、たくさん本も読む。そして、歯科医院の「お姉さん」のことが好きだ。ある日、ぼくの街にアデリー・ペンギンの群れが現れて、ちょっとした騒ぎになった。ペンギンがどこからきたのか、調べ始めたぼくの前で不思議なことが起こった。あのお姉さんがコーラの缶を宙に投げ上げると、それがペンギンに変わったのだ。お姉さんはぼくに言った。「この謎を解いてごらん」ぼくはこれを“ペンギン・ハイウェイ研究”と名付けることにした。
ジブリのアニメのイメージで読んでいました。
そのうちアニメ化するんじゃないかと私は思うものだ。
好奇心・探究心いっぱいの主人公アオヤマくん。
いろいろ冒険できて、うらやましいです。
本当は彼みたいに、若いうちからそういう行動がとれていたらよかったのですが、残念ながら私はそういう子供ではなかったようです。
でも、今からでも遅くないはず。(と自分に言い聞かせ)
いろいろ勉強しようと思ったりしています。
怒らないし、泣かないと決めているアオヤマくん。
なんだか健気です。
悲しみを希望で塗り変えたラストは、せつなくも素晴らしいですが、もう少し感情を出してもよかったのでは、という物足りなさもちょっとだけ感じてしまいました。
それだけ物語に入り込んじゃってたんでしょうね、私。
内容★★★★