2011/07/01 (Fri) 09:25
理論社
2011年4月
やあ。よかったら、ここにおいでよ。気に入ったら、ここが君の席だよ。コペル君14歳、考える。春の朝、近所の公園で、叔父のノボちゃんにばったり会った。そこから思いもよらぬ一日がはじまり…。少年の日の感情と思考を描く青春小説。
序盤は自然との触れあいといった感じで、あまり得意ではないのでモチベーションはあまりあがらなかったけれど、途中からストレートに考えさせられる展開になり、いっきに惹き込まれました。
その落差も、人の外面と内面を現してるように感じ、一人で納得してました。
「大勢が声を揃えて一つのことを言っているようなとき、少しでも違和感があったら、自分は何に引っ掛かっているのか、意識のライトを当てて明らかにする。自分が、足がかりにすべきはそこだ。」
生きていく上での自分の姿勢について、考えさせられました。
確かに納得いかないまま、迎合している部分が多いかなと。
別に声高に主張しなければいけないわけではないけれど、自分で自分に言い聞かせようとしたり、自己正当化しようとしているのはまずい気がします。
人は確かに群れないと生きてはいけないとは思います。
でも、長いものに巻かれろ的なのはもうやめないといけませんね。せめて、自分の心の中だけでも。なかなか難しいですが。
内容★★★★★
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2010/11/30 (Tue) 20:00
筑摩書房
2010年10月
緑溢れる武蔵野に老いた犬と住む棚。アフリカ取材の話が来た頃から、不思議な符合が起こりはじめる。そしてアフリカで彼女が見つけたものとは。物語創生の物語。
難しい物語でした。
多分私は把握しきっていないと思います。
特に最後の棚の書いた小説。
伝わってこないなぁ。鈍いのでしょうね、自分。
でも、アフリカの風、空気というものはとても感じ取れ、今すぐにでも行ってみたくなりました。多分その食文化に、一日と持ちそうにないですが…。
この本のおかげで疑似体験できただけでもよしとしておくべきかもしれませんね、私の場合。
アフリカの呪術とか考え方は神秘的というか幻想的で、ちょっと惹かれました。
内容★★★★
2010/03/17 (Wed) 13:44
新潮文庫
2001年7月
「西の魔女」とは、中学生の少女・まいの祖母のこと。学校へ行けないまいは、田舎の祖母のところで生活することに。まいは、祖母の家系が魔女の血筋だと聞く。祖母のいう魔女とは、代々草木についての知識を受け継ぎ、物事の先を見通す不思議な能力を持つ人だと知る。まいは自分も魔女になりたいと願い、「魔女修行」を始める。この「魔女修行」とは、意志の力を強くし、何事も自分で決めること。そのための第一歩は規則正しい生活をするといった地味なものだった。野苺を摘んでジャムをつくったり、ハーブで草木の虫を除いたりと、身近な自然を感じながらの心地よい生活が始まる。次第にまいの心は癒されていく。魔女はいう。「自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、だれがシロクマを責めますか」そしてまいは、この「西の魔女」から決定的なメッセージをうけとるのだった……。
大人の目線で見ると、こんな風に子供に接することが出来たら、と思わせる理想の、教科書のような本でした。
子供を見ていると、ついつい口やかましくなってしまいますが、こんなに落ち着いて、やさしく包み込むように話すことが出来たなら、どんなにいいことでしょう。
さりげなく、いろいろ生きていく上での大切なことを教えてくれる、そんな、子供にいい影響を与えることのできる大人になりたいものです。
まだまだ、足元にも及びませんが、少しでも近付くことはできるはず。
ラストには、本当に震えました。
文庫版には、単行本に収録されていない「渡りの一日」という後日談的短編が収録されています。
こちらはちょっとコミカルな感じです。
また、文庫版には、まいの母親の台詞も加筆されたりと、どうも文庫版はかなりのパワーアップをしているようです。
子供にもだんぜんおススメしたい本です。
映画化もされてるので、今度そちらも観てみようかと思っています。
内容★★★★★